本の目次とレビュー

§本書の目次

序 章 アランセーターの伝説
第 1 章 出会いと別れ
出会いは「ついで」から Padraig O’Shiochain
文化遺産の伝道師
サン・オブ・ジャパン
私は日本駐在員
別れ~託された遺言
死して知る功績

第 2 章 アラン諸島
ジョン・ミリントン・シング「アラン島」
ケルト・リバイバル
映画「アラン」

第 3 章 アランセーターの発見
アランセーターに関する文献
国立カントリーライフ博物館
アイルランド国立博物館「ルーラル・カルチャー展」
ミュレイル・ゲイン「カントリー・ショップ」
ハインツ・エドガー・キーヴァ
メアリー・トーマス
第2次世界大戦
パドレイグ・オモーリャ
アランセーター・コンペティション
キャサリン・ライアン「クレオ」
「ゴルウェイ・ベイ・プロダクツ」
アイルランド政府輸出庁
初の本格的輸出
パドレイグの父
シーハンからオシォコンへ

第 4 章 産業化への道のり
イニシイア島
イニシマン島
イニシモア島
アランセーターの産業化
目方でドン
「アラン・アイランズ」と「ロコ・ガーマン」
島での滞在風景
アラン諸島でやろうとしていたこと
パドレイグの持論
失われた時への旅立ち

第 5 章 アランセーターの普及
パリからの風
ウェルカム・アイランド
クランシー・ブラザース
そして日本へ

第 6 章 伝説の検証
「伝説」の意味
西のはずれが意味するもの
18世紀までのアラン諸島
19世紀以降の記録
英国のフィッシャーマンセーター
フェアアイルセーター
貧困地域対策委員会
シングの記述と当時の写真
ボストンからの帰還者
少ない物証
白いセーターの出現
バイオレット・パウエルの収集
ミュレイル・ゲインの来訪
白こそアランセーター
ステッチとパターン
シング「海に騎り行く者たち」
アランだからこのセーターは生まれた

第 7 章 編み手たち
ドゥーリンにて
ゴルウェイにて
オモーリャ
島の掟
本音を聞き出す
船内にて
ブリッド・イ・ドナーハ
現在の生産状況
編み手の意識
B&Bにて
イニシイアのパブにて
イニシモア島
メアリー・オフラハティ
イニシマン島
ペギー・コステロ
モイヤ・イ・マルカリン
モーリン・ニ・ドゥンネル
モーリンとの会談
神様の贈り物

第 8 章 アランセーターの行方
産地直売型
イニシマン・ニッティング
オモーリャ
ゴルウェイ・ベイ・プロダクツ
クレオの進む道

あとがき

§レビュー

自宅、会社途中の通勤電車の中で一気に読ませて頂きました。
かなり広範囲にわたり、アランセーターの生立ちを含め、いろいろな人達がその時代を生きてきて作られてきたことが改めて判りました。
感想としては、野沢さんの筆力もさることながら、島のニッター・モーリンさんの数々の言葉には非常に感銘を受けました。
「これからは自分のために自分のペースで編みたいと思ったのです」
「ただ漫然とたくさん編んでいてもいいセーターはできません。いつも興味を持って編んでいるかどうかということがずっと大切なのです」
「でもアランセーターを編むのに最も大事なのはテクニックではありません。一番大切なこと、それは心です。」などなど。
これらの言葉は本音であり、心の中から必然的に出て来た言葉だと思います。私も全然内容は違いますが弓道を学んでいます。技や中り、テクニックを求めるのはある段階に行くと邪道(嫌)になります。好きな編物を心ゆくまで楽しんで良いものを育て(作り)て行くのが正道ではないかと思います。(でも、商売としては成り立たないかもしれませんが)
これからは、次のニッターを育てて行く組織(環境)を作り、良いものを末永く育てて行く必要があると痛感します。世界の伝統技は段々と薄れて行きます。淋しいかぎりです。野沢さん、今後共、アランセーターの発展にご尽力をお願い致します。 (埼玉県蕨市・Y.M.)

★理由もなくアイルランドに惹かれ続けながらも、ここ数年は音楽でばかり関わって?いましたが、久しぶりに物づくりをしたくなりました。自分のための特別な一枚… まず自分で又編んでみようかなあ、等。ありがとうございました。お店へ行ってみたいです。(北海道札幌市・S.M.)

★たいへん具体的で、かつ胸がわくわくするような人々との交流に満ちた一冊でした。一読者となれたことを嬉しく思います。
ビデオの方も、出てくるニット、そして編んでいる様子に目を凝らしました。アランニットの伝説については、お書きの通りかと思います。日本人が服の裏地にも注意を向け驚かれたように、アランの人々にもごく自然にあのようなレリーフ状の模様への好みがあり、形にしていったのだと思います。たとえ歴史として短い期間であったにしても、小さな社会で成熟してゆくものはあり得たと思うのです。
私も編み物を毎日しております。編むことが好きで、習うことなく本などで独学ですが、本でも雑誌でもTVででも、編み地やセーターを見かけると目がゆきます。たとえメリヤス地でも良い感じの手編みのメリヤス地に親しみを覚えます。野沢さんがモーリンさんのセーターに感じられた魅力は、個人の好みと言われてしまえばそれまでですが、やはり手編みの糸の加減、柄のバランス、細部の始末といったテクニックにさらにプラスされる編み手の意思が感じられるのだと思います。
編み物の本を見ても、しばしば今風アランが載っております。テクニックもとても難しいものもあります。しかしだからといってすてきなニットだな、と感じるとは限らない。かえって変化のつけすぎにがっかりすることがあります。クレオのエラボレート・アランの存在を知って嬉しくなりました。自分の編み物心をますます活発にしてくれそうなそうしたアランを是非目にしてみたいと思います。
昨年の七五三に下の男の子にアランをと思いましたが、上の女の子の着物に合わせてスカンジナビアンニットにしました。白いアランは成人式にでも着せてあげたいと思います。自分で作ったものが自分の代わりに我が子を守ってくれるような気がするのです。
あと何年ぐらい編んでゆけるのか、とふと思いますが、ブリッドさんやモーリンさんのように長くやっていきたいものです。その意味でもたいへん励みになる一冊でした。
また、アランニットのバラエティに富んだ写真集などできないものでしょうか。着用している姿も含めたものが見られると嬉しいです。
私がいつか編もうと思っているのは実はガンジーセーターです。地味で男らしいその一枚を編んで将来ずっと着てゆきたいです。
P.S. 四ヶ月前に書いた手紙です。なにやら恥ずかしく思い、出しそびれておりました。自分がなぜこれほど手編みが好きなのかは分かりませんが、ひとつでも好きなことがあれば毎日先へ進む元気も出ると思うのです。 またニットに関する本をぜひ出して下さい。楽しみにしております。(山形県山形市 N.N.)

★とにかく最初から最後までとても、面白く読ませていただきました。
やはり同じニッターと言うことで彼女らの話にはいちいち共感できるものがありますし、世界に流行していく過程や背景などもとても興味深いものがありました。
感想を書き始めたらきりが無いので1つだけ、例のアラン模様の起源 についてですが、アメリカで教わった模様を持ち帰った当時の興奮を想像するとこちらまでわくわくしてきますね。
平べったいガーンジーばかり見てきた目には交差編みで作る凹凸がどれほど新鮮で面白く写ったか、当時私がそこにいたら、やっぱり夢中になって編んでいたと思います。(東京都目黒区・柴田淳(ニットデザイナー))

★「アイルランド/アランセーターの伝説」読み終えました。
セーターの柄や誕生について私の知らなかったことももちろんありましたが、アランセーターがいかに広まったかという野沢さんのお仕事 にかかわる視点からのまとめ方が大変面白いと感じました。
アランセーターの特徴である「縄編み(ケーブルステッチ)」はスウェーデンやノルウェーでは「バイキング・ストリッケ(バイキング編み)」フィンランドでは「カレワラ模様(増し目、減し目をしながら縄編みをする)」 とそれぞれの地域で親しまれているようですね。私は2000年から参加している北欧ニットシンポジウムでノルディックセーター、エストニアの編み込み柄など素晴らしい北の国のニットに出会いました。それらは必要に迫られて作られるのですがそこに編み手の創造性が加えられて今に至っているのでしょうね。アランがパリコレに影響を与えたように、エストニアのニット柄はサンローランやケンゾーのデザインソースにされたそうです。
「カレワラ模様」を習った今年(2003年)のニットシンポジウムのレポートを NHKの「おしゃれ工房」テキストの10月号に載せましたので、もしよろしかったらご覧下さい。
今回、アランの資料探しをしていたのも仕事がらみで、パターンは 「グラディス・トンプソン」著を参考にデザインしました。その本に載っている前身頃と後身頃の違うセーターは本当に素敵で、野沢さんのご本に「エラボレート・アラン」として紹介されているものの原型かもしれないと思いました。
一度お店に伺って 本物のアランセーターを手に取ってみたくなりました。 (東京都日野市・林ことみ(編み物ジャーナリスト))

★私自身、アパレルでニットをデザインする仕事をやっていることもあり、いつか、本場のアランセーターを見に行きたいという願いは持っていて、そこで自分だけのセーターを作るのが夢という思いもありました。
私も仕事でヨーロッパの糸を扱うことも多いのですが、いわゆるブリティッシュウールを扱うイギリスの紡績屋さんも この時代の煽りをうけて次々と廃業してしまい、本当の伝統を守って作り続けていた先が無くなっていってしまうことに残念だと、なんとも言えない気持ちになっています。
アラン島の本当の手編みのアランセーターの作り手も これから先増えることは無いんでしょうね、、、 残念です。 やはり、自分だけのアランセーターは必ず作ろうという思いは強くなっています。 (東京都渋谷区・松下恵子(ニットデザイナー))

★読み始めたら大変面白く、一気に読了いたしました。
私には初めて知るような話ばかりで、久しぶりに時間を忘れて読み進む一冊となりました。ビデオも珍しい映像がぎっしりと詰め込まれていますね。
パドレイグさんとケネディとの写真は、私も初めて見る写真で、とても貴重なものだと思います。この本の中に、ケネディ大統領の写真を掲載していただいたこと、ケネディの会の一人として厚く感謝申し上げます。
パドレイグさんと著者との交流は、決して長くはないものであったようですが、人との出会いの不思議さ、素晴らしさを感じさせる交流で、心打たれる思いがしました。
この本は、アランセーターの本であるとともに、パドレイグさんの伝記的な側面があり、そこが単なる紹介本とは一味違う深みを感じさせる魅力的な本になっているように思われます。(町田市・松村要(ケネディの会・代表))

★アランセーターの伝説」及びビデオ「アランアイランド」が届きました。ご本の表紙裏に、著者のサインを見つけたときはとても嬉しく思いました。ありがとうございます。まさしく私だけの大切な1冊「オンリーワン」になりました!
早速に本を読み終えましたが、内容もすばらしいですね。
今までアランセーターについて、これだけの資料や調査に基づいたものを読んだことがなかったので、新しい知識とその歴史を知り、感動しました。
私は編み物が趣味で、アランセーターにはかなり興味を持っていましたが、ますます興味と意欲が湧いてきたように思います。こだわりの1枚を、私は「ぜひ自分の手で編みたい!」
夢を与えていただきありがとうございました。(山口県宇部市・S.S.)

★ちょっと時間がかかりましたが、「アランセーター」読み終えました。感動しました。
著者のアランセーターへの情熱が上品に伝わってきて、好感がもてました。とくに、人間関係にまつわる話が、著者自身の取材のおかげで生き生きと伝わってきます。
また、文章がうまい!(ちょっとほめ過ぎか?)とかく、自分の専門領域の話となると、読者を無視した書き方になる人が多い中、門外漢のわたしにも、とてもよくわかるシンプルな文章でした。
アランセーター、なんとか、いい形で後世に伝わっていくといいですね。(東松山市・原田勝(英文学翻訳家))

★(筆者より…妻の友人で松山に住むM様からご感想を頂戴しました。周辺のご友人にもお薦めいただき、数人の読後感想も併せてお寄せいただきました。以下にご紹介します。)
※一冊の本を出す事は、一人の子供を生み出すようなものだと思います。一枚のハンドニットのアランセーターから、アイルランドの歴史、文化、生活が伝わってくる本です。
P.153-155,P167-169,P212,これらのページは特に好きです。私の中のワンダーチャイルドがいたく刺激されました。
わずかな人口、岩だらけの土地、大西洋の波と風、過酷な環境の島、住む人々の力強さ、運命を受け入れる素朴さ、素直さ、大きくなるとなくしてしまうような大切なものばかり…。P.215のセーターは見事!!パドレイグさんとモーリンさんの愛情が伝わってきます。それは、セーターにかける愛情と野沢さんに対する愛情です。うらやましい限り。
この本と出会った事に感謝します。(松山市・M)

※昨年、娘がアイルランドに留学していた折りに、アラン島を旅行し、アランセーターとキャップ、マフラーなどを送ってくれたこともあって、興味津々で読ませていただきました。
アラン島の概略は聞いてはいましたが、アラン島とあの精緻な編み込み技術を伝えるセーターとの関連が飲み込めずにおりました。しかし、貴著を通して、厳しい自然環境や生活環境が女の手仕事を育て、伝統として生き続けていることを知りました。
ここ松山にも絣という織染文化が独自の技法で現在も生き続けているように、こうした産業は、風土や生活環境と切り離しては考えられない、もうひとつの地域史を織りなしていることを再認識させられています。そして、正史では読みとることのできない生々しい歴史、生活感あふれる庶民の歴史を、さらには産業としてのアランセーター普及の過程など、とても楽しく拝読いたしました。
娘は詩人イェーツのガラスのような感性に惹かれ、スライゴー訪問と語学研修に留学しましたが、アイルランドに根付いているゲールの文化との出会いに感激しておりました。今は香港で仕事をしている娘ですが、異文化との出会いは、何も現地に行かなくとも、こうした産業史とも見聞記ともいえる側面史で十二分に楽しませてもらったことを、読後すぐに彼女に電話で伝えたところです。
機会があれば、いつか娘と訪れてみたいと夢を膨らませています。これも、この本との出会いがあったればこそ。一筆、お礼申し上げます。(松山市・D)

※きっと、友人に紹介されなければ手にしないジャンルの本ではなかったかと思います。 読み終えて、”たかがアランセーター、されどセーター”の感を強くしました。亡き恩人パドレイグ・オシォコン氏の生きざま、存在感、重厚さを感じました。
歴史を辿りながら、様々な人間模様をちりばめ、集中して読ませるインパクトを強く感じました。特に印象深いのは、映画「アラン」のクリフ・フィッシングのシーン、エジプトの壁画に見られるアラン模様、国立カントリーライフ博物館の4体のマネキンの着ているもの(現存する最古のアランセーター)、クレオのエラボレート・アラン、米・メンズファッション誌「GQ」のカシミアのアランセーター、何度見ても上記の写真は、私の印象に強く焼き付いていました。(モデルも素敵!!)
私はレース編みが好きです。共通点をあえて考えますと、白、繊細さ、手作り作品、網目模様の素晴らしさ、テクニックとオリジナリティの追求ではないかと思います。
“アランセーターは神が編ませた、神からの贈り物”、「アラン=あらん限り」のアランセーターの旅を終えられた著者の気持ちが、時空を越えて伝わってくるようです。人の出会いは、なんと神秘的で素晴らしいのでしょう。
この本と触れ合い、ホッと暖かい気持ちになることができました。後世の人達にも夢と希望を。ありがとうございました。(松山市・N)

※古いものが廃れ、すべてが機械化し、合理化される中で、アイルランドの伝統あるアランセーターを愛して大事にしていらっしゃる。また、こういうお仕事に携わっておられる事は、素晴らしいと思います。私達も日本での伝統を大事にしていきたいと思います。
若い頃、子供のセーターや夫のセーターを編んでいました。模様編みは、出来あがりは素晴らしいけれど、ひと目間違えるだけで何段もほどかなければならず、イライラした思い出が蘇ります。 アイルランドの母から娘へと、順に伝えられ、娘は自分のオリジナリティを発揮していく。とても素敵だな、と思いました。
何もかもがコンピューター化されている現在だから、逆に、昔の良いものにもどる方向性もなければ、人間の将来はないかと思います。 この本を読ませていただき、ありがとうございました。(松山市・I)

※まず、洋服屋さんがこれだけ調べ上げたということがすごいですね。熱中するものに出会えると、これだけの力が湧いてくるのだと感心しました。
内容も、ご自身の経緯が織りこまれ、出会った人達との交流から得たもの、交流を書かれており、暖かい雰囲気で読みやすい文体だと思います。(松山市・I)

★(筆者より…実は、原稿段階でいくつかの出版社に出版希望の依頼をし、原稿の審査をお願いしていました。実際に出版が実現したので、先頃原稿の返却をお願いしたところ、そのひとつB社は、審査会での四者の評価を添えてくれました。以下はその各評の要約です。)

※(前略)著者がアランセーターに魅せられるきっかけとなったある人物との出会いから、かのセーターの誕生と人気を博すに至った経緯、普及するに伴い誰ともなく語られるようになった「伝説」とその真偽、そしてアランセーターが今後辿るであろう道行きまで、幅広い話題を網羅した充実の一作である。まだまだ知名度の低いアランセーターの周知を広げるためにも、本作を世に問う価値は十分にあると思う。

※(前略)パドレイグ・オシォコン氏が、一つ一つ課題をクリアし、アランセーターを単なるクラフトの領域から地場産業へと発展させていった努力と成功の軌跡は、一ヒューマンドキュメントとしても、大変興味深いものであった。また、その背景として不可欠なアイルランドの風土や生活様式、あるいはアイルランドの文化史、地誌としても楽しく読むことができた。

※(前略)「伝説」の歴史浪漫にも似たミステリーが、読者の知的好奇心を刺激してやまない。また、示し方にも著者は秀でており、読者を混乱させないように概要をきちんとなぞった後、「伝説の検証」と章を改め、その真偽に迫るという手順を踏んでいる。こうした順を追った分かりやすい構成と、数他の資料や関連書籍を渉猟した上での丁寧な検証が、読者の滑らかな理解を助けていることは言うまでもないだろう。

※現地を幾度となく訪れ、当地の人々の肉声を集め綴られた作品だけに、記述全体に説得力があり、非常に読み応えのある作品に仕上がっている。アランセーターのひと編みひと編みに込められた編み手たちの思いまでをも伝える本作は、この一冊でアランセーターの魅力を十二分に語り切ったと評しても過言ではないだろう。(後略)

★年末にお店に伺った時に購入した「アイルランド・アランセーターの伝説」をやっと読み終えました。夫婦二人で同じ本を読み終えるのは初めての経験でした。
セーターを題材として、アイルランドの国や人々の姿を垣間見ることができました。因みに読み終えるのが早かったのは妻のほうでしたが・・・。
私事ではありますが、趣味で和竿(竹製)を集めていますが、やはり職人の方との会話を通じてのやりとりは、その方の思いも共有できる、昨今の流通形態からは稀有なことかと、不図、思ったりもしています。そこで生まれるのが双方の信頼感なのかもしれません。そんなことを思い正してくれた本でもありました。(市川市・T)

★行間にアランセーターへの深い愛情がにじみ出ています。刊中で拙著もご紹介下さり、感謝!ご本が届いた日、奇しくもメアリー・オフラハティからのカードも落手。 何かの縁と彼女の手によるセーターを引っぱり出し、着込みました。やはり心身ともに温もりますね。
私も物書きの端くれ、一冊になるまでの労苦は身にしみてわかります。 いい「仕事」をなさいました。もう一度、心から「おめでとう」と申し上げます。(出雲市・伊藤ユキ子(「紀行・アラン島のセーター」の著者))

★とても興味深い内容で自分の価値観を考えさせて頂いた衝撃の本でした。それとともにさみしさもすごく感じました。
自分はアランセーターはじめドネガルツイードなどアイルランドのモノにいままですごく魅了されてきました。 そんなモノの奥に潜む歴史、背景などけしてファッションという一つの言葉ではかたずけてはいけないんだなと改めて考えされられました。
この本でアランセーターされどアランセーターというものをつたえていただきありがとうございます。(東京都・Y.K.)

★長年本物のアランセーターを探究してきた静岡の洋品店店主が、5年間のリサーチを経て出した新刊書です。
ペーパーバックでモノクロですが、貴重なアーカイブ写真も載せてあり、アランセーターの伝説の紹介とその検証、商業的な起源と有名になるまでの歩み、編み手一人ひとりの紹介、熟達した編み手が減ってゆく現状と将来の展望など、世界的にも貴重な無形文化財であるアラン島の手編みを余す所なく— しかもロマンや宣伝に流されることなく、利益が島外に流出する仕組みといった硬派な話も絡めて、アイルランド史の流れの中でしっかりと捉えた好著。(東京都・萬崎めぐみ(アイルランド関係のweb-site「ボウディッカ」主宰))

★まさに野沢さんならではの 渾身の1冊、アランセーターの決定本ですね。
その念入りな取材やアランセーターに関わった当事者ならではの生の声、生の取材にも個人店店主の、 そして、アランセーターを心から愛する 一個人のスタンスにも感銘を受けましたが 個人的に、最も心に触れたのはモーリン・ニ・ドゥンネルさんの下りでした。
思わず、つられて僕も目頭が熱くなりました。
式場壮吉さん、の「発見」もさすがですね。 僕は、あの方が日本の男服と男の趣味の歴史に果たされた役割の凄さを、様々な人から以前から聞き及び、唸らされていますが 「アラン」も、早かったのですね。白州次郎とコロネットのモモタ会長あたりを足して割ったような知性と趣味の良さ、先見性を感じます。
とにかく、お疲れさま、ご苦労様でした。たくさんの方に読まれること切に祈っています。僕も色々、宣伝しています(笑) アランセーターの日本の喧伝者としてこれからも頑張ってください。(東京都・山口淳(各種メンズ系雑誌にコーナーを持つ名ライター))

★個人的には、5章と6章が特に興味深い部分でした。スコットランドのタータンチェックも「伝説」の部分が多いとの論文を目にしたことがあります。(焼津市・I.K.)

★面白く読ませていただきました。僕の文章力ではうまく表現できないのですが、野沢さんのアランセーターへの「愛」というか、それを介して出会った人々への「愛」というか、あるいは野沢さんという人そのものの人柄というか、何かそんなようなものが満ちていると感じました・・・・。(鎌倉市・K.D.)

★アランセーターは不滅だと信じたいです。島の女性たちが編まなくなったとしても、私にとってアラン模様は、すばらしい編み模様で、その模様は編み物をする人々にとっても、きっと、お手本になる、憧れの模様であり、編み手は一般の人々に委ねられてしまっても、アラン模様は生き続けると思うからです。(藤沢市・S.J.)

★さぞや膨大な取材資料だったのだろうと思える詳細な説明等々興味深く一気に読んでしまいました。終盤にホロリとくるところもあり 書棚に大切に置いておく本の一つとなりました。(富士市・Y.T.)

★読み手の興味をかき立てるタッチで、とても興味深く読ませていただきました。(大阪市・S.T.)

★実地のヒヤリング・調査に基づいた掘り下げた内容に感動しています。オシォコンさんとの交流を始め、極めて綿密な取材を基に、よくぞここまで丁寧勝つ暖かい本に仕上げられたと感動しました。(東京都・池谷光司)

★野沢さんらしい筆はこび、ある時はスリリング、見えない努力に改めて見直しました。さすが…(東京都・宮城央江((株)イライアス・フローラ(D.A ミュージアム)代表)

★私にとってはいささか耳の痛いエピソードなども加え、ご熱心な研究の成果として読ませていただきました。(東京都・石津祥介(石津事務所・代表))

★……本書はセーターを通してアランという島々とそこに暮らす人たちの息づかいが感じられるような一冊だ。(静岡新聞 2003.1.5読書欄より)