倶樂部余話【一一三】季節性とトレンド性(一九九八年一一月一日)


九月にお話しした世紀末的な予測に、景気と天気の要因が加わり、顕著になってきたのが、売れているものは季節性の弱いモノとトレンド性の弱いモノ、という傾向です。この傾向が今後も増してくると次のようなことが想像できます。

まず、セールが変化します。店がセールをするのは、季節性とトレンド性の強いモノを利益を削っても早く処分したいという思惑からですが、買う側からすると、そういうモノはいくら値が下がっても魅力がない。むしろセール除外品の方に注目が集まり、セールになるようなモノは買わない。となると、店も客もセールに頼ることができなくなり、いずれはセール不要ということも考えられます。当然、店が今以上に適時適価に努めなければならないのは言うまでもありません。

次に、トレンドのない良質なモノは長く使えますから、買い替えるというよりも買い足すという発想となり、一人当たりの購買額は減少します。理論上、新しいお客様が増えないと売上げの維持ができなくなります。これにはもう、顧客からの口コミが最善策なのです。お陰様でメンバーズの皆様には、今でもこの期待に充分に応えていただいていますので、感謝に堪えませんが、しかし更に更に「当店を会話のネタに」をお願いする次第です。