倶樂部裏話[4]アニバーサリーリダクション(2002.5.16)


 当倶樂部メンバーズの特典のひとつとして、お誕生日とご結婚記念日の「アニバーサリー・リダクション」があります。
 この制度の発端は実に古くて、「お客様の大切な記念日には、何かをして差し上げたい。」という思いは、約16年前、この店を創るのを計画していた段階からありました。
 創業当時は、まだバブル華やかなりし時代で、お客様の年齢層は比較的高く、また顧客数も少なく客単価はかなり高く設定してましたので、ご結婚記念日には、花屋さんにお願いして小さな花束をお贈りしてました。もちろん、お客様には喜んでいただいてましたが、そのうち、こんな声が聞こえるようになってきました。「大して買い物もしてないのに、なんだか悪いね。」「頂戴した日に、お礼の電話をする、女房が、ちょっと煩わしいわね、って言っててね。」つまり、インパクトが強すぎたのです。金額的には決して大きなプレゼントではなかったはずですが、花束を贈り物で届けていただく、ということを、お客様は負担に感じられたようでした。
 そこで、花束をお贈りするのは、5周年(木婚式)、10周年(錫婚式)など、5年ごとの区切りのときだけにして、ほかは、オリジナルのグリーティングカードをお贈りする、ということに改めました。また、このときに、ご結婚記念日だけでなく、お誕生日にも同様にカードをお贈りすることにしたのです。
 その間、花束に代わる気の利いたプレゼントはないだろうか、と思い巡らせていました。しかしながら、もらって負担に感じられるモノではいけないし、かといってチャチなモノでも店の感覚を疑われます。ご夫婦の場合、年三回あるわけですし、同じモノでもいけない、また、毎年変えていかなければなりません。それを準備して管理することは大変ですし、記念日当日に合わせたタイミングでお届けすることも難しいことです。さりとて、店でお渡しする、というのも、なんだか「プレゼント欲しかったら、店まで来て。」と言っているみたいでおこがましいし……。
 そもそも、多様な趣味嗜好をお持ちの多くのお客様に、数種類の画一的なモノを用意することで対応できるはずもなく、もし最適なモノが見つかったとしても、そういうモノは、きっと、差し上げるのではなくて、「売りたい」と感じてしまうものです。そう、結局、こんなモノを差し上げたい、と感じられるモノは、私たちが選んだ「売り物」以上にはありえない、ということに気付いたのです。
 ならば、私たちが一番自信を持っているモノ、つまり「商品」を手に入れていただくことが、私たちにできるなによりの「祝福」と「感謝」の表現に違いない、と思い、現在の方法に切り替えた、という次第です。
 当倶樂部の実施する「アニバーサリー・リダクション」は、このような変遷と試行錯誤の中から生まれたものです。決して、姑息な販促手段として思い付いたわけではなく、私たちの「おめでとう」と「ありがとう」の心からの気持ちなのです。
 そのことを、ご理解いただきたくて、この一文をしたためました。 (弥)