倶樂部余話【一六八】年頭所感(二〇〇三年一月一一日)


恭賀新年。年頭所感です。

「だんだんお正月らしさがなくなってくるね。」という声を今年はよく耳にしました。しかもそれが、売る側からだけではなく、買う側からも、聞こえるのです。

スーパーは元旦から、デパートは二日から、が当たり前になり、今年の二日の街中はものすごい人出でした。その代わり、年末の二日間は閑古鳥でしたが…。きっと来年は除夜の鐘から開店する店も現れるのは想像に難くありません。

でもホントにそれでいいんだろうか、と思い始めているのは決して私だけではない様に感じます。冒頭の声はそんな気分の表れに思えるのです。

サービス業に従事する人口は増え続けていますし、例えばコンビニのおにぎりを作る工場に勤める人などもいるのですから、まともに正月休みを取れる人は次第に減っていきます。暮れや正月もない人が増えれば、正月需要も減り、将来は、今ほどの賑わいもなくなるのではないでしょうか。何だか、今の小売業は、大蛇が自分の尻尾を食べ始めているのに気付いていない、そんな風にも見えます。

便利なことは確かにいいことです。でも、便利さのために犠牲にしているものもある、と気付き始めていませんか。いっそ、一年に一度、正月ぐらい、家族で不便さを味わう時期があってもいいんじゃないだろうか。欧州のクリスマスみたいに、電車もバスも休みにしたらどうだろう。政府も、元旦に開ける店からは罰金を取り立てるぐらいの強権を振るえないものだろうか。

何てことを、つらつら考えていました。初夢だと思って笑って下さい。

本年も、倍旧のお引立てをお願いいたします。