倶樂部余話【一八三】こだわりって好きじゃありません(二〇〇四年二月二六日)


ときどき、こだわりの店、などと評されます。しかし,実は私自身は「こだわり」という表現をあまり好んで使うことはありません。と言うのも、この言葉、元来が、些細なことに拘る、や、地位に拘る、など、悪い意味に使われてきたもので、決して誉め言葉になるとは限らないからです。

それに、商売ですから、商人は、品質なのか価格なのかサービスなのかブランドなのか、いずれにしても何かに拘らなければならないのは当然ですし、お客様にしても、何かに拘ったからこそモノを買うわけで、客もまた拘るのは当たり前のことだと思います。大体、今時、「こだわり」のないモノなんて売れるはずがないでしょう。

しからば、なんと言えばいいのでしょうか。「矜持(きょうじ)」というのもいい言葉ですが、あまり一般的とは言えません。横文字に変えてみたらどうでしょう、プライド、になるんでしょうが、でもそれだと何だか偉そうな感じで、逆に誤解を受けかねませんね。

私が好むのは「思い入れ」とか「気概」といった表現。自分の思いにぴったり合っているな、と感じるのですが、皆様はどのようにお感じでしょうか。