【倶樂部余話】 No.223 バイヤーの憂鬱 (2007.8.3)


最初から売れないと分かってるモノを仕入れるバイヤーなんていません。「コレは売れる!」、バイヤーはいつもそう信じて数を出すのですが、すべてが思惑どおりに行くはずもなく、どうしても売れ残りという困ったモノが出てしまいます。
普段は売場全体に紛れ込んでいるそういった残りモノが浮き彫りになって現れてしまうのが夏のこの時期でして、今月の店内はさながら一年分の残りモノ品評会のようで、無能ぶりをさらけ出しているバイヤーは悲しくなるやら情けないやら、いささか憂鬱になる八月です。
「在庫は宝なんだよ」と私はかつてある名物バイヤーから教わりましたが、今多くの経営者は「在庫は罪だ」と説きます。宝なのか罪なのか、私はどちらも正しいと思います。中身と量と時期の問題ですし、バイヤーと経営者という立場の違いもあるでしょう。そして、宝だと強気に言うバイヤーの私と、罪だと堅気に言う経営者の私が、いつも自身の中で葛藤しているのですが、この時期は明らかに後者の私の方に軍配が上がってしまうわけです。
つまり、かつての宝も八月には罪。なので涙を飲んで、恥ずかしながらの価格を付けても、思い切った罪減らしをやらないといけません。それにはお客様皆さんのご協力が必要であります。暑い中ですが、ご来店いただければ嬉しいです。(弥)