【倶樂部余話】 No.264  ジョン・レノン、没後三十年 (2010.11.23)


 アランセーターと同じぐらい長く続けているのが、12月8日9日のジョン・レノンのメモリアルイベントです。この店ができる前から始めたので、もう26年続きました。といっても、当店は飲食店でも音楽屋でもありませんから、宣伝販促的な意味合いはまったくなく、何をしているかと言うと、額縁に入れたジョンの顔写真を掲げ、キャンドルを灯し、店内に二日間ジョンの歌声ばかりをずっと流す、といった、ほとんど私の自己満足的なことを毎年やっているに過ぎませんが。
 1980年12月8日(日本時間では9日)、22歳だったあの日あの時に感じた悲しさは不思議によく覚えています。この世に起きるはずのない、起きてはいけないことが起きたのだ、という信じられない気持ちで、「イマジン」のLPレコードを一晩中泣きながら聞いていました。何がそんなに悲しかったのか、今でもちゃんと言葉にできない、もやもやしたものなのですが、きっとこの気持ちを忘れてはいけない、という思いが強くあったのでしょう、こうやって続けてきたのは。
 今年は没後30年、そしてもし生きていれば70歳、と節目の年に当たり、例年にも増して数々の企画が出ているようです。それらの「あやかりイベント」を否定はしませんが、でもなぜか手放しで喜べる気持ちを持てない私がいます。きっと、暗殺されたことを商売に使うことに抵抗感があるのではないかと思います。自分も商人なのに、変でしょうか。
 今年も私はいつもどおりにやります。12月8日9日の二日間、お心のある方はどうぞご来店いただき、一言声を掛けてくれると嬉しいです。(弥)