【倶樂部余話】 No.277 レビュ男くんレビュ子さん (2011.12.1)


 ネットでよくある「レビュー」というやつ。実際に使った(読んだ、観た)人の評価とか感想などと訳せばいいのでしょうか。私も、宿探しや書籍選びには割と参考にします。映画だけは事前に調べすぎると期待が膨らみすぎて落胆することが多いので、事後にだけ読むことにしました。しかし、利用しながらその反面で思うのです、レビューばかり当てにしてると自分で判断する能力をなくしてしまうぞ、と。
 私は仕入れのときに「一番注文が付いてるのはどれ?」と売り手に尋ねることがあります。それは自分の店で誰に何をどう勧めたいかを判断する材料として知っておきたいからですが、よその店で客として自分のモノを買うときには「一番売れてるのはどれ?」とは聞きません。自分が買うモノには自分なりの理由があるからです。ところが近ごろ若い方から「これとこれ、どっちがよく売れてるんですか?」「お勧めはどれですか?」といった類の問い合わせが増えたなぁと感じているのです。そのくせ、どの服に合わせたいか、どう使いたいか、など、自分のことは一切話さず、ひたすら最大公約数のレビューを求めてくる、レビュ男くんレビュ子さんたちなのです。
 失敗することをものすごく恐れているのが今の若い人たちなのかな、と少し気の毒にもなります。失敗は成功のもと、とか、三度目の正直、とか、七転び八起き、とか、急がば回れ、とか、紆余曲折、とか、彼らにはそういう言葉が通じなくなるのでしょうか。
 将来アマゾンが婚活ビジネスを始めて、こんなモノを買っているあなたにはこんな人がお薦めです、などと言われると、その通りに結婚相手を決めてしまう、なんていう社会になってしまったら…。ああ、恐ろしや恐ろしや。(弥)