【倶樂部余話】 No.283 その大丈夫は大丈夫ですか?(2012.05.26)


 「大丈夫です」の用法が近頃何だかおかしい。

 例①。店「手提げ袋に入れましょうか?」客「大丈夫です」→これは、店も客も、手提げは不要である、という意味だと認識している。ここに食い違いはない。

 例②。(商品を見て回っているフリの入店客に向かって)店「お手伝いしましょうか?」客「大丈夫です」→店は (一体何が大丈夫なんだろう?買い物の手伝いをするのが私の仕事なのだが)といぶかしむが、どうも客は(見てるだけだから放っといて)というニュアンスで言っているようだ。店と客で言葉感覚にズレがある。

 例③。(日曜日、品切れの商品を訊ねられたので、在庫があれば取り寄せもできるという場面で)店「明日にならないと問屋への在庫確認ができませんが、よろしいでしょうか?」客「大丈夫です」→店(じゃあ、明日お電話しますからこちらでお名前を…)と言おうとしたら、客はそそくさと店を出て行ってしまうではないか。ポカンとする私。客は(すぐに欲しかったので、明日の在庫確認は必要ないです)という意味だったようだ。解釈がまるで正反対になっていた。

 結論。どうも「大丈夫です」は「OKです」ではなくて、「お願いします」の反対語、つまり「お願いしません」という意味で使われているみたいなのだ。三つの例示にそれぞれ「お願いします」を当てはめてみると逆の意味になることでそれがお分かりいただけるだろう。
 でも、そんな大丈夫は全然大丈夫じゃない、と思うのですがね。どうなんだろ、この日本語。 (弥)