【倶樂部余話】 No.288 旅の甘~い(?)思い出 (2012.11.01)


 話題に困ったときは食べ物の話に限ります。美味しかった話だと「そりゃ良かったね」と言われるのがオチなので、今回は旅先で食べたNGなモノを挙げてみることにします。
 アイルランドの田舎町で出された地中海風?豚肉のオレンジソース和え。フィンランド・ヘルシンキ、ラップランド料理店でのトナカイのブラックベリーソース掛け。どちらも甘ったるいジャムがどっさりと乗っていて、肉とフルーツの掛け合わせは、元来から酢豚にパイナップルさえも苦手な私ですから、手を出してはいけないメニューだったのです。肉の量も半端でなく、見ただけでもうすっかり満腹になりました。
 ロンドンのど真ん中ピカデリーサーカスであまりの空腹に慌てて頼んだ餃子。まさに段ボールを噛んでいるようでこれほどダメな餃子は初めて。えてして日本人は中華料理に慣れすぎているので欧州のアレンジには違和感があることが多いです。むしろ韓国やタイ料理の方が中華ほど馴染みがない分だけハズレも少ない、というのが私の経験です。
 さて、最後を飾るのは、27年前、新婚旅行のシンガポール、インド人街でタクシードライバーに連れて行ってもらった「地元で一番美味しい」食堂での、フィッシュヘッドカレー。バナナの葉の上に、魚の頭がどすんと乗った素朴なカレーです。見た目のグロテスクさはともかく、身の締まりがまるで感じられない臭みの残った白身魚には辟易でした。二人して(文字通り)手を付けられず、運転手は「こんなご馳走、もらっていいの?」と大喜びでビニール袋に入れてお持ち帰りしていました。
 何ごとも経験したからこそのこと、旅での苦い、いや甘~い(?)思い出です。(弥)