【倶樂部余話】 No.317  覆面レスラーに仮面舞踏会 (2015.3.1)


 「覆面」とグーグルに入れるとパトカー、調査…と予測します。「仮面」と打つとライダー、女子…と続きます。覆面も仮面も自分には無関係と思っているでしょうが、これ、どちらも英語では「マスク」なんです。
 「日本人はみんなマスクして歩いてるんだよな」という英国人との会話を聞いていた外国のご婦人は、もしかしたらデストロイヤーやオペラ座の怪人のような顔で街を歩いている群衆を想像してしまうのかもしれません。
 それにしてもマスクをしている人が増えました。伊達マスクの人も相当数いるようです。マスク自体も年々大きくなったり立体的になっていて、ますます誰が誰だかわからない、匿名性が強くなってきている気がします。

 マナーとかルールとかについて言うのはとても難しいことで、そして携帯電話のように新種の事項に関しては普及するにつれてそのマナーも変わっていきます。マスクもまさにそうでしょう。でも、少なくとも、覆面的要素という観点からは、帽子やサングラスと同じぐらいのマナーがあってもいいんじゃないか、と思うのです。人の家や会社を訪れる時、帽子やサングラスをどう扱うのか、そこにはあなたなりのマナーやルールがあるはずです。ややこしいのは、マスクは医療用具、だから誰のためにしているか、ということが曖昧です。自分の風邪を拡げないようにこれはあなたのためにしているんですよ、と言われたら、何も言えなくなってしまいます。

 実は私も花粉症持ちですので、外出時にはマスクは必需品です。自店内では外していますが、誰もいないときには症状はおさまっていても、お客様が見えたとたんに、お客様の衣服に付いた花粉が持ち込まれるので、急に目と鼻が反応し始めてしまうという皮肉な事態が起きます。そんなことですので、マスクの持つ効能については充分に承知しているつもりです。

 マスクをしている方には、少し意識してくれたらいいなぁと思うのです。マスクは覆面、仮面、と同じなんだと。あなたは誰なの、どんな表情をしているの、と読み取ろうとしている店の者にとって、マスクは大きすぎる壁なんです。(弥)