倶樂部余話【339】探してます、人の死なないミステリー。(2016年12月24日)


英国やアイルランドに興味が深いと、じゃファンタジーもお好きでしょ、とよく言われるのですが、私はファンタジーが大の苦手。「千年が経ち、一人は石になり、もう一人は木になりました」と一行で片付けられるこの大変化に私の想像力はついていけないのです。

全く多読家ではないのですが、それでも読む小説はミステリーが多いです。で、何年か前に「十数時間の長いフライトの中で読むのに適した本は何かないか」と図書館をうろうろしていたところ、見つけたのが、いわゆるアンソロジーとかオムニバスとか呼ばれる、当代人気作家たちによるミステリーの短編集でして、何しろ数ページ読んで合わないと思ったらどんどん次に移れるのでとても気楽です。年末のこの時期はそういうアンソロジーの新刊がよく出るので、この数年買ったり借りたりして読んでいます。
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ミステリーにも好みがありまして、とにかく人がどんどん死んでいくのがダメです。だって現実にはそんなに次々と人は死んだりしないでしょ。ストーリーの中盤以降に重要人物が口封じのためにあっけなく殺されたり、第二第三の殺人から墓穴を掘って犯人が浮かんだり、そういう見え透いた展開は興ざめなんです。死ぬ人はできるだけ少ない方がいい、最初の一人は仕方ないとしても、できることなら、一人も死なない、というのが理想です。はい、そうなんです、実はずっと追い求めているんです、人が一人も死なないミステリーの傑作。どなたがご存じでしたら教えて欲しいんですよね。

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神の御子イエス・キリストの生誕をともに祝います。
すなわち、メリー・クリスマス。(弥)