倶樂部余話【七十】天気予報と服えらび(一九九五年三月一四日)


去る二月一七日、国賓として来日したアイルランドのメアリー・ロビンソン大統領(女性)の歓迎パーティが開催され、その手の誘いに弱い私、いそいそ出掛け、握手してまいりました。国賓というのは大変な扱いらしく、迎賓館滞在や天皇との会見など相当なもてなしの反面、すべてに外務省のお咎めが入り、日本の官僚機構のややこしさにアイルランド側のスタッフはかなり閉口していました。

さて、春のこの時期、必ずお客様から「これいつ頃着るの?」というご質問が出ます。この答え、確かに難しいのですが、この極意をマスターすること、イコール、春の装いの楽しさでもあるわけです。

まず、今日まで冬物/明日から春物といった衣替え観念を捨てます。冬の次が春ではなく、雪の日もあればポカポカの日もある、寒暖の繰り返しで徐々に暖かくなっていく時期を春というのだと思って下さい。だから朝の天気予報を見てから服を決めるのがカギで、暖かい日を狙いましょう。

それから昼夜の温度差対策には薄手物の重ね着が便利だということも覚えておきたいです。また、伊達の薄着で風邪をひいてはいけませんので、外見は涼しげ/下着で暖か、を工夫します。

実はこの辺、婦人服では当たり前の極意なのですが、紳士諸兄はいかがお感じでしょうか。ともかく「春物は工夫を重ねてできるだけ早く着始める」これが答えです。