倶樂部余話【342】服飾を学問のように語る人(2017年4月1日)


この倶樂部余話の第一回は29年前の1988年9月。開店一周年企画として出来合いのDM裏面の余白にプリントごっこで印刷した簡素なものでしたが、実をいうと楷書草書云々の文章の内容も天声人語風のその体裁もあるところのパクリでありました。その元ネタこそグレンオーヴァーであり、そこの大ボスが赤峰幸生さんでした。当時の当社にとってグレンオーヴァー=赤峰さんは、主力仕入れ先という実務面ももちろん精神的にも柱になっていた存在で、彼ほどに紳士服飾を学問のように語れる人を私はいまだに知りません。何度か参加した赤峰教室、懐かしいです。

亡くなった父は彼がまだ20代のころからその力を大層評価していて、私もずっとこのハガキを送り続けてきましたから、かれこれ当社とは50年近くの付き合いになりますが、昨年の5月突然に電話がありました。私の手術入院をご心配いただいた見舞いの電話でしたが「実はね、グレンオーヴァーを復活させる計画があるんだよ」との話。20数年前に経営の蹉跌から消えたブランドですが、それが復活するとは、うれしい話でした。その話から一年が経ちようやく商品の姿となり、先々週には東京で久々に赤峰節の学問的レクチャーを直接受けてきました。(還暦なんてまだまだひよっこだぁ、とはっぱ掛けられました) そしてコートやジャケット数点が店に届いたのです。

今どきノスタルジーだけではモノはなかなか売れませんし、過去の成功ブランドの復活が必ずしもうまくいく例ばかりではないことは重々知っています。決して楽観はしていませんが、当社の古くからの顧客にとってもこいつは面白い話だろうと、ここでお知らせせずにはいられなかったのです。(弥)

俱樂部余話【1】


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