倶樂部余話【一二七】名バイヤーとは(一九九九年一二月二四日)


バイヤー(仕入れ担当者)とはなかなか褒めてもらえない仕事で、売れないものを仕入れれば当然ケチョンパだし、かといって売れすぎれば今度は足りないと怒られ、ぴったり売れてやっと当たり前としか評価されず、つくづく損な役回りだなと思います。しかし、百貨店なら売れ残りを返品することもできますが、当店の仕入れのほとんどは「買い取り」ですから、バイヤーの責任も重く、だからこその醍醐味もひとしおに感じます。

かつて聞いた名バイヤーの談。曰く「売れないと思って仕入れるバイヤーなど一人もいない。だが人間のすること、全部が思惑通りに売れやしない。どうしても残る。しかしその残り方に上手下手が出る。最後の一点まで売れるためにはどう残ったらいいのか考えて仕入れる。これがうまいバイヤーなのだ」この話は目からウロコでした。

さて、果たしてこの冬の私はうまいバイヤーでしょうか。我ながらいい残り方をしている冬だな、とは思うのですが…。「ファン感謝ディ」で存分にご評価下さい。お待ちしています。メリー・クリスマス!よいお年をお迎え下さい。