22年前に一度簡単に書いていますが (倶樂部余話【198】2004年10月6日)、今度は画像も交えてもちょっと詳しく。
英国やアイルランドの豪華な朝食はよく知られています。地方の小さなゲストハウスなどでは昔ながらに順番にサーブされるところもあるようですが、近頃はほとんどビュッフェ形式になっているので、好きなものを好きな順番で好きなだけ食す、ということで何も問題はないのです。問題はないのですが、本来はこうやって食べるんだよ、ってことを誰かが伝えないと、と思うのです。なので身を挺して、というか自らの胃袋を持って、お節介なお話をいたします。ただ、これは何も厳格なものではないので、こうじゃないといけない、というわけではありません。誰もとがめたりしませんし、基本的には好きなように楽しめばいいのです。
それでは始めましょう。場所はアイルランド・ダブリン。アメリカ大使館近くの4つ星ホテルHerbert Park hotel。朝食会場のレストランは、セルフビュッフェになってます。
着席すると、ウェイターがやってきます。Tea or coffee?
「Tea please. それとポリッジがあればハーフサイズで。(水かミルクか、と聞かれたら)ミルクで」。
そしてまず一皿目を取りに席を立ちます。

果物とヨーグルト。アイルランドの美味しいミルクとベリーのスムージーも。
ここではカットフルーツですが、昔イギリスのホテルに泊まったときに、恰幅の良い英国紳士が、バナナをナイフとフォークで上手に食べていたのを思い出します。お見事でした。
二皿目のコールドプレートを取って戻ってきたら、ポリッジがちゃんとハーフサイズで届いていた。
順番で言うと次はシリアルです。コーンフレークや雑穀も備えてあるのだけど、前述のように頼むとポリッジを出してくれる。ポリッジはオートミールのおかゆのことで水かミルクで煮ます。アランセーターの恩師パドレイグ・オシオコン氏が好んでいたやり方を真似して私はこれに蜂蜜を足します。このホテルには蜂の巣がそのまま立てかけてあるので天然のハニーが取り放題。これは嬉しい。写真の黄色い塊がそれです。一口すすると胃袋がじわっと暖かくなってくるのがわかります。

このホテルにはコールドプレートがあるのです。スモークサーモンとサバの燻製、嬉しくて二切れずつ取りました。生野菜は貴重で、きゅうりの食感だけでも味わえるのは嬉しいものです。燻製といえば、以前にスコットランド、グラスゴーのクラシックなゲストハウスの朝食で初めて食べたキッパー(kipper=ニシンの燻製)、これは美味しかった。ホテルの客の中にはフルではなくコンチネンタルで簡単に済ます客もいるのでしょう、コールドミールのコーナーには、ほかに、ハム、サラミ、チーズ、プチトマト、も備えてありますが、後が控えているのでこれらはパスします。

いよいよメインのホットプレートです。
0時から時計回りに。ハッシュドポテト、マッシュルーム、焼きトマト、スクランブルエッグ(バーベキューソース添え)、ブラックプディング(穀物入りの腸詰め、血合い入り)、ホワイトプディング(同じくでこちらは血合いが入っていない)、ソーセージ、カリカリのベーコン。
卵料理は好みで目玉焼きやゆで卵に変更可能。バイオーダーたと、半熟か完熟かの希望や、ポーチドエッグ(トーストが座布団になっている卵料理)のリクエストも通じる。ブラックプディングはアイルランドでは欠かせない一品。これが、スコットランドだとハギスに置き換わったり、イングランドではホワイトだけだったりします。かなり濃い味で食べすぎるとやたらと喉が渇きます。このホテルでは半分に割ってくれているので助かります。
パンは、アイルランドならソーダブレット(イースト菌で膨らませないで重曹を用いた簡素なパン)なんでしょうが、私はそれはお昼にパブでスープに浸して食べるのが好きなので遠慮して、ここではオーソドックスに薄いトーストを取ります。ブラウンとホワイト、バターも低脂肪やマーガリンもありますし、ジャム、マーガリン、蜂蜜、お好みで。もちろん、ここにはクロワッサンやフランスパンなども置いてあります。

デザートにチーズを少々。普段はコーヒー党の私ですが、アイルランドでは断然紅茶です。
国民一人あたりの紅茶の消費量、第三位がUK(イギリス)、第二位がアイルランド、世界一はトルコなんだそうです。確かにトルコは水代わりに砂糖たっぷりのチャイばっかり飲んでます。イギリスの紅茶がインド、スリランカ系なのに対して、アイルランドの紅茶はアフリカ、ケニア産がメインです。このアイリッシュティーの特徴は、ミルクをたっぷり入れても色が薄くならない、ということ。ね、色がしっかりと濃いでしょ。
いくら早食いの私でも、これで小一時間はかかります。冬の朝は遅く暗かった空もすっかり明るくなってます。

小腹が空いたときのためにカップケーキ(ブルーベリーとチョコ)を持ち帰ります。展示会周りで忙しいとお昼はこれだけで済ますこともあります。
さ、仕事するぞ。
私は、ワリカン負けするのが大嫌いなとても卑しい性格なので、こうやって目一杯朝食を楽しみますが、こんなに食ってるヤツはホテルの食堂で多分私一人ぐらいなもの。だから、決してこれを人に勧めるものではありません。順番と内容を説明するために身を挺して書いたものですからね、と、言い訳です。(弥)