倶樂部余話【423】ビートルズとキャンディーズとAIと(2024年1月1日)


 知ってる人も多いと思いますが、私にとって、ビートルズとキャンディーズはほとんど同格な地位を持っています。(以下、敬称略)

 昨年(2023年)の秋、NHK-BSで「名盤ドキュメント~キャンディーズ “年下の男の子”」という番組がありました。アイドルを超えた高い音楽性や声の魅力を分析し、キャンディーズの本質は、三人のぴったりなユニゾンとしっかりとしたハーモニーに裏付けされたラン、スー、ミキのコーラストリオということにある、と、結論づけたのです。そうなんだよ、そのとおり、NHKさん、よくぞこのプログラムを作ってくれた、と、嬉し涙を流しながら何度も繰り返してみました。過去の数々のキャンディーズ特集の中ではダントツに秀逸な番組でした。と同時に、一昨年シンガーとして復帰したランが時々ソロで歌うキャンディーズナンバーに手放しで喜べない虚無感を感じる理由を自覚したのです。

 かたや、11月にはビートルズ最後の新曲「Now and Then」が発表されました。一度は断念したアイデアでしたが最新のAI技術を駆使して仕上がった新曲です。オリジナルからは程遠いツギハギだらけの曲で賛否両論ありますが、ジョンの歌声がベースですし、ジョージのギターも入ってるし、ポールもリンゴもOKならばもう何も言うことはありません。諸手を挙げて大歓迎です。ただ、同時に公開されたAI映像の方は、ちょっと悪ノリというかやりすぎの感があり、ポールもリンゴも嬉しがってないように見えました。

 さて、この2つのことから導き出される次なる私の期待は何だとお思いでしょうか。そうです、キャンディーズの復活です。ビートルズができたのなら、キャンディーズだってできないはずはないんです。それができるのはNHKだけだろうし、そうであれば舞台は大晦日の紅白以外にない。事前の発表によれば、伊藤蘭がキャンディーズメロディを歌うこと、娘の趣里は朝ドラのヒロインなのに紅白不参加という違和感否めない発表、これは私の期待を裏付けるものにほかなりません。実現の暁に、後出しジャンケンじゃん、と言われたくないので、わざわざ自分のSNSにも「趣里がスーを演じ、ミキがバーチャルなりオンラインなりで特別出演、ランスーミキのキャンディーズが復活」と予言まで書いて、大晦日を迎えました。

 そして昨晩、こんなに夢いっぱいな気分で紅白を見るのは初めてでした。午後10時過ぎ、笑顔で懸命に歌うランの姿に胸打たれながらも、でもやっぱりこれは違うよ、これじゃ市民文化会館の昭和アイドル懐かしの歌謡ショーと変わりないじゃないか、僕らのキャンディーズはこうじゃないんだよ、NHKだから期待してたのに、ランさんなんでこんな仕事引き受けたの、と、憤懣(ふんまん)やるかたない思いで、さっさと床に入ってしまいました。

 そんなことで、例年1月の倶樂部余話は年末に書き溜めておくのですが、今回は、元日の気持ちをそのまま書こうと思って、結果こうなりました。
 ご挨拶が遅れました。あけましておめでとうございます。本年も当店へのご愛顧お引き立ての程を何卒よろしくお願い申し上げます。(弥)

加筆。
この記述は、元日に書いてお昼すぎにすぐにアップロードしたものです。その直後に能登半島地震が発生しましたので、そのことには触れることができませんでした。
偶然のタイミングとはいえ、配慮の足りないこととなりましたこと、お詫びいたします。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。