倶樂部余話【347】三十年目の秋です(2017年9月1日)


六月に被災地を回った出張には実はもう一つ今まで内緒にしていた訪問地がありました。栃木県大田原市の紳士服工場「ナス夢工房」。おびただしい数の仕付け糸、これでもかとしつこいぐらいの中間プレス…、聞きしに勝る素晴らしい工場で、ここに開店30周年記念のジャケットの縫製をお願いしたくて訪れたのでした。生地は既に決まっていて、葛利毛織に廃番になったかつての名品を無理に一反だけ復刻生産で織ってもらっています。このベストな生地をベストなファクトリーで縫う、の交渉が成功したのでここにようやくお知らせすることができたわけです。30周年メモリアルのベストな紺ジャケ、限定30着、いよいよ実現の運びとなりました。同時に従来からこの工場を使っていたファクトリエの協力も仰ぎ、期間限定ながらナス夢工房製のスーツも扱うことになりました。

あ、紺ジャケと言えば別の意味でこれまた最高の紺ジャケも入荷。こちらもファクトリエが縁で懇意になった和歌山の丸和ニットから世界でここだけのバランサーキュラーのすごいニットジャケット、従前品を改良した最高のトラベルジャケットです。

40周年はさすがにもうないかも…、とすればあとは一年ずつ…、だ。特別な思いで迎える30年目の秋、始まります。(弥)