倶樂部余話【346】サステナブルとは(2017年8月1日)


テニスをやった翌日は前腕が痛くてマウスが持てない。ひどいときは箸を持つのもつらくなってきました。長年の力任せのフォームが原因なのは明らかで、湿布薬を貼れば何とかなるかと思いきや、一向に痛みが引きません。このままでは、仕事にも支障が出るし、何しろ大好きなテニスが続けられなくなってしまいます。

かくなる上は、前腕の筋肉に負担が掛からないようにグリップとスイングを変えるしか手はない、とフォームの改造に取り組みました。しかし運動神経の鈍い私にそれはそんなに簡単なことじゃなくて、四十年以上身体に染みついた打ち方を変えれば、球速は出ないし、ボールコントロールは無茶苦茶、もう一打一打に怒りがこみあげてきて、いっそ元に戻しちゃおうかとやけを起こしそうになりますが、いやいやそれは玉砕というもの、とにかくこれから何年もずっとテニスを続けたいならこうするしかないんだよ、と自分に言い聞かせます。

不思議なことに、本人はフォーム改造に四苦八苦しているのに、周囲は私を褒めます。曰く、力の抜けたいいスイングになってきた、と。皮肉なもんです。さらに思わぬ副次効果も。ラケットがぶれなくなった分、今度はサーブやボレーが安定してきたのです。なんか違う境地に入った気がしてきました。

で、ふと思ったんです。これこそまさにサステナブル(sustainable)ってことなんじゃないか、と。持続可能、と訳される、近頃環境分野で頻出するキーワードですが、正直よく意味が分かってませんでした。性能や価格や競争力も大事だけどそれよりも持続可能かどうかを重視しよう、ということならばなんとなく理解できます。そうか、品選びも売場作りもサステナブルを意識しようということか。フォーム改造のようにね。

かくして私、サステナブルなテニスを目指して、悪戦苦闘の日々であります。(弥)