倶樂部余話【410】試写会に招かれて(2022年12月1日)


 さる11月20日に野澤屋は100歳の誕生日を迎え、先日第3世代の代表4人で集まり内々の祝杯を挙げました。これで約一年間続いたNZ100+JN50事業も一区切りです。皆様からは一年間にわたり数々の祝意のお言葉をいただきました。ありがとうございました。
 閑話休題。過日雑誌に載った私のロングインビュー記事を目にした映画関係者から試写会のお招きをいただきました。映画には門外漢ですが、ちょうど出張の日に時間が空いていたので、いい経験だと思って伺いました。邦題「イニシェリン島の精霊」(原題The BANSHEES of INISHERIN)、1923年アイルランド西岸の小島イニシエリンを舞台にしたフィクションの物語です。
 イニシエリンは架空の名前ですが、そのモデルは明らかにアラン諸島(のイニシイアもしくはイニシマン)。実際のロケもアラン諸島(イニシモア)で行われてます。そして私はその1920年代あたりのアラン諸島の服装や風習風俗にはちょっと人よりも詳しいんです。なぜならその頃というのはちょうどアランセーターの黎明期に当たるので、アラン諸島を取材した写真集や紀行文、博物館所蔵の画像、など、執筆のために25年ほど前に集めた資料が手元にたくさんあるんです。
 私が招かれた理由も、また期待されているコメントも、きっとそのあたりのことなんだろう、ということは察しがつきますので、鑑賞後にそのへんの感想をだらだらと長文で書いて送ったんです、肝心のストーリーのことにはほとんど触れずに、勝手お構いなしに自分の気がついたところばかりを書き連ねまして、こんなマニアックな話、それほどに興味を持たれることもないだろうけど、せっかく招待してくれたんだし、でも内心、時間を掛けて書いた長文、これは12月の倶樂部余話にまるごと使えるなぁ、なんて甘い気持ちを持ちながら。
 そうなんです、いきなり前置きなしで、その感想文を今月ここにベタッと載せるつもりでしたが、配給元から待ったがかかっちゃったんです。意外にも私の文章のウケが良くて、公式パンフレットや公式ホームページの宣伝材料として使うことになるかもしれず、とりあえず、封切日まではブログなどでの公開を控えてください、という連絡が入ったんです。
 ということで今回の話はここまで。続きは映画封切後に。アイルランドに興味のある方には面白い話だと思います。ぜひご覧ください。(弥)

イニシェリン島の精霊」は、2023年1月27日より全国公開。
静岡市でも静岡シネ・ギャラリーで同日より上映予定です。
(間違い探しです。このポスターには一つ間違いがあります。答えは次回当話にて)