ローマ法王のことを英語ではポープpopeと言います。
2013年に就任したイタリア系アルゼンチン人でイエズス会出身のフランシスコ(英語読みでフランシスFrancis)はとても積極的に世界中の国々を訪問していて、
来年には日本にもやってきて長崎を訪れるのではないか、という話も出ています。
そのポープ・フランシスがこの8月にアイルランドを訪れました。
アイルランドはカトリックの国ですが、近頃は何かと教会のスキャンダルが多く、故にポープの来愛はことのほか話題になったのですが、首都ダブリンの大きな公園での特別ミサに、ポープ自身は50-60万人の参加を呼びかけたのに、20万人しか集まらなかった、と報道されていました。
え、ちょっと待って。アイルランドの人口が480万人だから60万人は全人口の1/8でしょ、いくらなんでもそりゃ大風呂敷じゃないの、いくら見積もりよりも激減したとはいえ、実際に20万人も集まったんでしょ、さすがアイルランドでのカトリックの力はすごいもんじゃないの、と、私なんかは思ってしまうのですが、そうじゃないみたいなんです。
前回にポープがアイルランドを訪問したのは約40年前の1979年。
その当時の法王、ヨハネ・パウロⅡ世(英語読みだとジョン・ポール・セカンドJohn-PaulⅡ。全然違う人みたいですね)のダブリンでのミサには、なんと100万人以上が集まった(ある記事では150万人とも)という事実があるのです。
当時の全人口の1/3が一つの場所に集まったというのですから、ポープ・フランシスが、せめてその時の半分ぐらいは集めたいよね、と、期待しても無理もないことだったかもしれません。
さて、ここまで書いて、ああ野沢はまたきっとあの話を持ち出すんだな、と、思った方、正解です。
自分の本にも13年前の倶樂部余話【195】(2005年4月)にも書いたことです。
ポープといえば献上アランセーターです。40年前にアラン諸島きっての名ニッター、モーリン・ニ・ドゥンネルが編んでポープに捧げられた白いアランセーターがあったのです。
それにしてもポープの権威というのが我々の想像を遥かに超えるものなんだということがよくわかりました。大国の元首に匹敵するほどでしょう。
そして、私はまた編み手のモーリンを思い出します。
献上セーターのくだりを、私は自慢話は好きじゃないから、と自ら話さずに、もどかしくなって代わりに話し出した娘の姿をじっと見つめていた誇らしげな笑顔。モーリン、我が心の母、です。
1987年の開店から32回目の秋です。店名が変わったり場所が変わったり業態が変わったりと、変遷はありますが、この時期の身の引き締まるようなでもわくわくした思いはいつも変わりません。
今シーズンもこの小さな場所でたくさんの人に会えればいいなぁ、と思っています。(弥)
倶樂部余話【195】(2005年4月)