倶樂部余話【416】靴の話です(2023年6月1日)


 毎年夏の「靴を作ろう!!」キャンペーンに絡めて、今話は靴の話を、もっと正直に言うと、読んだら靴を作りたくなる気持ちになれる話を、と思い、ネタ探しでもと発売したての紳士靴の専門誌を買いました。ところがその特集がテーラードウェア。靴の雑誌が服の特集とは、どういうことだ、こりゃ肯定すべきなのか否定すべきなのか。服好きに靴好きはかぶりますが、逆に靴好きに服好きはそれほどかぶりません。なので服の雑誌に靴の特集はあっても、靴の雑誌に服の特集、で靴好きは嬉しいものなのか、本を買ってくれるのか、それで本は売れるのか、と、疑問を感じて、靴に詳しい知人数名に意見を求めてみました。いわく、やっぱり、靴だけでは誌面が埋まらない、ネタ不足、広告不足、の側面があるようです。うーん、これじゃ靴を作ろう!っていう気にならないなぁ、と、困ってしまいました。

 今シーズンのTVドラマにパクリを題名にしたドラマがあり、知財(知的財産権)をテーマにするのは面白いな(これでも大学では民法のゼミ生でした)と思って、観ているうちに、そういえば以前に宮城興業がオーダーシューズのシステムを特許申請したって言ってたな、あれはどうなったんだろう、と思い出しました。確かにスーツやシャツでは当たり前のパターンオーダーのシステムですが、これを靴の世界で実現した宮城興業のノウハウは特許モノだろうと私はかねてから高く評価していたので、高橋社長に直接確認を取ってみました。すると、弁理士の不手際などもあって、申請をしたままで審査にも至ってなく、つまり現時点では特許は取得していない、とのことでした。ですので誰かにパクられても文句は言えないのですが、実際には相当に本気で取り組まないとパクリは絶対にできっこない自信のあるシステムなので心配はしていない、というお話でしたので一安心です。でもドラマの中でもあったように、実際の特許は取っていないにも関わらず特許申請済という文言だけでそれを宣伝文句に使うのは企業姿勢として決して褒められたものではないということなので、この話だけでは靴を作りたい、という気持ちには繋がりにくいですね。さぁ困った。

 でも光は見えてきました。アイデアはまとまりました。
 紳士靴の雑誌がスーツ回帰を言い始めたということは、逆に言うとビジネススタイルも変わり、革靴をスーツスタイルだけでなくあらゆるスタイルに履こうとする姿勢がすっかり定着したということにほかならなりません。ボトムにしてもウールトラウザーズばかりでなく、デニムやチノなどの綿パンに革靴を合わせる姿はもう当たり前です。むしろスニーカーやコンフォートシューズよりも仕事できるように見えるし、背筋がしゃんと伸びてかっこいい。スマートカジュアル、トランスジェンダー、いろんな理由はあるだろうけど、紳士靴は黒と茶だけ、という固定概念はもう取り払おう。婦人靴並みとはいかないまでも、他の色にも挑戦しよう。その後押しをこのキャンペーンでは特化してみたい。しかも黒と茶以外の変わり色の靴は既製品ではほとんどないから、宮城興業のオーダーシューズのシステムは大きな武器になります。
はい、決まりました。今月のイベント。靴を作ろう!!~変わり色に挑戦しよう。同時開催で、綿パンを作ろう!!~変わり色の革靴に合わせて。(弥)