倶樂部余話【九十五】英国外交は紳士的か?(一九九七年五月一二日)


英国で十八年振りの政権交代。英国気質を標榜する当店としても関心が高いが、この紳士の国も外交においては極めて「非紳士的」な歴史の足跡を残している。
 
★この七月の中国返還に沸く香港。もともとはアヘン戦争の戦利品だ。いくら紅茶が好きだからって、茶葉と麻薬を交換するとは。
 
★イスラエルを巡る領土戦争。これもアラブとユダヤの双方にいい顔をした英国の二枚舌が一因。
 
★かの大英博物館には、七つの海からの略奪品をこれでもかと並べている。石造建築までバラしてイカダで運んだのだから恐れ入る。ギリシャやエジプトは絶えず返還を要求しているが、倫敦は決して首を縦に振らない。
 
★クロムウェルと言えば清教徒革命のヒーローと教科書では教わったが、アイルランドでは国賊扱い。カトリック弾圧に教会の焼き討ちや市民の虐殺など、大蛮行を繰り広げた。
 
★北アイルランド問題もしかり。全島一括独立のはずが、調印寸前で利権の大きい北部地方だけは渡さないとゴリ押しした結果。ブレア新首相はクリントン米大統領(アイルランド移民の子孫)と親交が深いらしい。好転を期待したい。
 
 我が国の歴史上の失策を鑑みるに、どうもこういう性質を「島国根性」と称するのかもしれない。かくして日英関係本日も良好なり。