倶樂部余話【一〇〇】祝・第百話(一九九七年一〇月七日)


記念すべき百話目です。「店頭では伝えきれない思いを聞いてもらいたい」「来店頻度の低いお客様にも疎外感を感じて欲しくない」という気持ちからスタートして九年間、英知の限りを絞りきって?書き続けました。

初期の頃のワープロはレベルも低く、文章を生む苦労もさることながら、ハガキに割り付けるのに時間が掛かり、宛名も手書きでしたので、一回の発行に一週間は掛かっていました。今ではワープロも四代目、原稿書きからほぼ一日半でポストに投函できます。ただ、宛名のラベル貼りはできる限り私が貼るようにしており、私がお客様のお名前をフルネームで覚えられるのは月一回のこの確認作業のおかげです。

様々な事柄を取り上げましたが、巨人と自民党とトヨタがダメな私らしく、大きなもの強いものに牙をむいた話も多かったような気がします。怒りネタはいつもウケが良くて、そのたびに小さいながらも自分の考えを存分にぶつけられる自前のメディアを持てたことを幸せに思っています。

実は、怒りや批判の話に比べて、より書きづらかったのは嬉しい話でした。単なる自慢話に聞こえてはいけないし、より自分の言葉で書く必要があったからだと思います。

「百号続いたら四〇歳の記念に自費出版でもしようか」などと冗談も言っていましたが、自費もなくまだ振り返るほどの歳でもないので、これは当分お預けです。

最初は「たれに書いてもらってるの?」とよく聞かれました。次第に「朝礼の話題に使ったよ」「あの話には溜飲が下がったね」などと、お褒めも頂戴するようになり、業界誌の名物DM特集でも何度か取り上げられました。いつも手帳に挟んでいてくれる方、届くとすぐに電話をくれる方、誤字脱字を校正してくれる方…、みんなすみずみまで読んでくれてるんだな、と実感します。「会社の掲示板に小さな字ばかりが印刷されたハガキが貼ってあって、なんだか面白そうな店だなぁと思って来てみました」という声には感激しました。

店とお客様との信頼関係、これが百話のジャブを打ち続けて得た最大の財産だと心から痛感します。継続は力なり、ですかね。