倶樂部余話【一二二】旅行地理検定試験(一九九九年八月一日)


「もし無人島で一生一人で暮らすのに一冊だけ本を持っていけるとしたら?」との問いに、私は迷わず、高校で使う地図帳を挙げます。そのくらい地理は大好き科目で、小学生時代は世界中の国名と首都を暗記しているのが自慢の種、70年の大阪万博(当時中一)は一週間通い詰めて全パビリオンを制覇しました。

日本交通公社(JTB)の関連団体が年に二回「旅行地理検定」という試験を実施しています。国内、海外、鉄道の各部門に加え、毎回二~三ヶ国の国別試験があり、今回は、アメリカ、スイス、とイギリス。ひとつ運試しにと、先日静岡会場でイギリス編を受験してきました。

別に何の資格試験でもなく、最高得点者には「博士」の称号というまったく趣味丸出しの試験で、観光専門学校生や旅行会社の職員に混じって、旅行マニアとおぼしき年配の姿も見受けられる会場で、六〇分一〇〇問のマークシートテストは始まりました。

いや細かい、難しい。コッツウォルズの寒村の名など地図上だけで分かる奴などいるものか、と悪戦苦闘の一時間。イギリス博士の勲章はおろか、英国を標榜する店の店主としてははなはだ不本意な成績で、結果は79点でした。

(後日、詳細な成績結果が届き、最高点が88点、平均が57点で、私は全受験者数159人中で堂々の第七位でした。ホッとしました。)

 

 

旅行地理検定は今も続いていますが、国別試験という分野は廃止になりました。

 

ニコラス・モスの共同購入会、始まる。