【倶樂部余話】 No.266   ツイッターが紡ぐアランセーター (2011.1.20)


 「アランセーターができて百年か、キリがいいから久しぶりに特集しよう」とここに書いたのが昨年の九月末。知己のライターがこの話をツイッターで紹介、それがある編集者の目に留まり、彼は男のセーターの特集を着想、急いで企画を練り、私のところへやって来ました。そして十二月中旬にムック本が発売、巻頭8ページにわたり当店とアランセーターがデカデカと載ったこの本が書店の男性ファッション雑誌の棚に並びました。
 同業者からは「どんだけ払ったんか?」と冷やかされましたが、こちとら静岡までの交通費はおろかお茶の一杯も出してないのですけれども、これだけ取り上げられれば反応が少ないわけはありません。このところ毎日のようにメールや電話での問い合わせが続き、嬉しい悲鳴を上げています。
 私が書いたアランセーターの本も絶版となって久しく、著者分の手持ち在庫も完売し、アマゾンの中古本で三倍もの値が付いている状態でしたので、モノクロだった写真を全部カラーに入れ替えて、データをPDF化してCDに焼き、パソコンで本のように読めるカタチで安価に頒布することにしました。実際iPadでペラペラとめくれる電子ブックになった拙著を初めて見たときは何だか自分の本とは思えない新鮮さがありました。
 アランセーターは百年の間ずっと変わらずに続いてきたものです。それが最先端の情報ツールであるツイッターが契機となって再び火が付くことになりました。 これももうひとつ別の意味の「温故知新」と言えるのかなぁ、などと思っています。(弥)