【倶樂部余話【一五六】わくわく(二〇〇二年一月一一日)


謹んで新春のお慶びを申し上げます。

たくさんのお客様から年賀状を戴き、ありがとうございます。その中で、「今年もわくわくさせて下さいね。」という添え書きが妙に多く、私たちに期待されるこの「わくわく」とは何だろう、と考えてみました。

★我々はつい、去年これだけ売れたから今年もこのぐらい仕入れる、と考えがちだが、去年と同じものではわくわくするはずがない。前年比主義に陥らないよう、より自戒せねばなるまい。

★とはいえ、変わらぬものを長く売り続けたいという姿勢も捨てたくない。要はわくわくの陳腐化をどう防ぐかだが、手持ち駒の引出しを時々は閉めておいてしばしお休み中という展開手法があっても良いのかも。

ITの普及で、手に入れられる情報量は加速度的に増えている。なのに我々の小さな発信にわくわくしてくれる。「情報」と一口に言われるが、大量の報(data)に迷い悩むばかりの中で、出所の確かな情(information)は、今では貴重なのだろう。報が北風なら、情は太陽なのかもしれない。

★お客様がわくわくするのは、我々が感じたわくわくをお客様に伝えられたからに他ならない。では我々は何にわくわくするのか。この一年を思い返すと、決してモノだけをとらえて感動したのではなく、モノを作る「職人」、職人と商人の間の通訳をする「仕掛人」、時代を嗅ぎ分けられる「目利き人」、そういったヒトたちとの様々な出会いが我々をわくわくさせてくれた。 そう、モノには必ずヒトが携わっている。その携わり様にわくわくするのだ。

 今年も、いっぱいわくわくしましょう。よろしくお付き合い下さい。