倶樂部余話【一九四】スーツは年収の1%(二〇〇五年三月九日)


スーツに関して、私の独断的な私見を述べます。

【スーツ・年収1%の法則】

スーツほど、ピンからキリまで、価格の幅のある商品もないと思います。下は5,000円から上は500,000円とすると、その違いは100倍にもなります。いったい自分はいくらのスーツを買ったらいいんだろう、という疑問があってもおかしくはないはずです。まあ、何にいくら使おうが個人の自由ですから、本来余計なお世話であることは承知の上で、規範付けが好きな日本男性のために何らかの法則性はないものか、と考えてみました。

かつて背広がすべて誂え物であった時代には、背広一着は大卒初任給の何ヶ月分、というように言われていました。それに倣って、こんな目安はどうでしょうか。

多少とも自らの装いへの興味を自負する男性であるならば、「スーツの価格は、年収の1%を基準に、かつ2%が上限」とするのです。例えば、年収800万円の方とすると、8万円は掛けて欲しいし、と言って、掛けても16万円まで、となります。(2%を越えると、生活にアンバランスが生じる恐れ大です!)

この法則、何の根拠もなく、いまだ誰一人言い出したこともないのですが、経験上、割と的を得ているラインだと思っています。いかがでしょうか。もちろん、使用頻度や関心の強弱によっての個人差も大きいものですから、あくまでも目安ということですが…。

なお、ご注文時に当方への確定申告は一切不要ですので、念のため。

【そのスーツ、何年着たいですか?】

何年持つかという耐久性の話ではありません。その気になれば、20年でも30年でも着られるのがスーツですから。ここで言うのは、向こう何年間ぐらい着ることを想定するか、ということです。これにはふたつの要因があり、流行やトレンドをどのくらい取り込んでいくか、と、今後の体型変化の可能性、このふたつの兼ね合いなのです。

30代後半までは、幾分は流行の要素も取り入れて、また体型の変化も予測されますから、5年ぐらいを目途に考えたいものです。40歳を過ぎたら、徐々にトレンドとは距離感を離しつつ、その分、品質に重きを傾け、「10年スーツ」を目指していって良いのではないでしょうか。

これも、職業や趣向によって差があって当然で、一概には言えませんが、まあ、トレンドてんこ盛りスーツを着た「50代・行き過ぎオヤジ」も、何の挑戦心も若さも感じられない「20代・トッチャンボーヤ」も、どちらも、あまり好ましいものではないなぁ、と、私は感じているのです。