【倶樂部余話【一五九】提げ札の位置(二〇〇二年四月一日)


商品には、いろんなフダがぶら下がってます。総称して、提げ札(下げタグ)といいますが、ここには様々な情報・・・価格、ブランド、サイズ、品質、生産国、取扱いの注意など、商品を選ぶ上で必要な事項が凝縮されていますから、ほとんどのお客様は必ず提げ札を見るわけです。

この札は、誰のためにあるのか。当然お客様のためであり、お客様が最も見やすい位置に付いているべきなのですが、必ずしもメーカー側はそう考えていないようで、単に、倉庫で管理しやすい位置に、最も効率のいい方法で付けているに過ぎません。洋品は衿の後ろ側、ハンガーものは袖口、というのが常です。しかも、百貨店など大手は、自社の値札まで、出荷前にメーカーに付けさせています。 (おまけに、返品自由ですから、戻す時も、当然、付けたままで返します。)

皆さんには、提げ札を見ようとしたら商品まで引っ張ってしまった、という経験はありませんか。それは、提げ札が不自然な位置に付いているからで、それでは陳列も乱れますし、そもそも商品を痛めることにもなりかねません。

お気付きの方は少ないと思いますが、私どもでは、ほとんどの商品の提げ札を、入荷したらすぐに、お客様の見やすい位置に付け替えてから陳列しています。品選びをしていれば、自然と視野に入る場所に付けていますので、気付いてもらえなくても当然なのですが。

手間は掛かりますが、些細なこととして見過ごすわけにはいかない、大切な仕事なのだと考えています。専門店の心意気のひとつとでも言えましょうか。