倶樂部余話【一五八】春物をどう着るか(二〇〇二年三月五日)


六年前にも書いたことですが、新しいメンバーも増えましたので、今一度「春」についての持論をお話しします。

三月四月と、確かに平均気温は上ります。ところが、この「平均」というのがひとつのまやかしなのです。週のうち暖かい日が一日だけある、次の週はそれが二日になる、 その次は週に三日、お彼岸ごろを境に週四日になり、そして徐々に夏に続いていきます。だから、三月初めでも初夏みたいな日もあれば、桜が散っても雪が降るという日もあり、実は平均気温どおりの春の日などというのは滅多にはないのです。

よく男性客が言うことに「いつから春物に着替えたらいいんだろう。待ってるうちに、いつの間にか初夏になっちゃってさ。」との発言。私たちはこういう人たちをまやかしの呪縛から解き放ってあげなければいけません。

具体的にはどうしたら良いのか。まだ寒いうちは、色だけを春の色に変化させる。ネクタイなどは季節先取り感を出すには格好です。そして、暖かい日を狙い、徐々に素材感を変化させます。実際には、明日の服装決めを寒い日用暖かい日用の二通り考えておく、ということも肝心でしょう。 多くの男性はこれを面倒と考えますが、女性の多くは、これが楽しみなのです。