倶樂部余話【一八一】値段は誰が決めるのか(二〇〇四年一月九日)


海外で買い物をすると、同じ品物でも専門店の方が百貨店よりも高い値段が付いている、ということは決して珍しくないことです。 その代わり、専門店は、品揃えが良く、接客も丁寧で、お直しも無料でしかもその日にホテルまで届けてくれたりと、その差額を補って余りあるほどのサービスが付加されてくるのです。

さて、今回の話は、値段は誰が決めるのか、ということです。経済学者ならそれは市場(消費者)が決定する、と言うかもしれませんね。実際、欧米では小売店が自由に設定しているのに対して、日本では(独占禁止法という法律があるにはありますが)代理店や卸し元が小売価格を「希望」するのが常になっています。

さて、この四月から、消費税法の改正で値段はすべて税込みで表示するように義務付けられます。将来の増税への布石でしょうが、内税方式の導入自体はかねてからそうあるべきだと考えていたので、 私は歓迎してます。 今、流通業界は980円1,029円になったんじゃ売れないょ、と大騒ぎしています。999円で売れるように951円に値下げせよと問屋に圧力をかけている大手量販店もあるようです。

私なら、980円はそのままにして、他のモノで50円上げるなりして利益を調整することでしょう。それでも人はこれを便乗値上げだと非難するでしょうか。

 私は思うのです。この内税方式への変更は、価格を決める裁量権限を小売店が取り戻す、千載一遇のチャンスなのだと。希望小売価格などに捕らわれず、自店の付加価値を考慮して、各自が独自に売れる値段を付ければいいだけのことだ、と考えるのですが、果たしてこれは暴論でしょうか。