倶樂部余話【407】webShopは在庫一覧表でいいのだろうか(2022年9 月1日)


 HPを見直しませんか、とか、ショッピングサイトを作りませんか、という誘いは電話やメールでしょっちゅうやってきます。

 大概は無視してますが、先日某大手ショッピングモールから勧誘の電話がありました。「社長さんいますか」じゃなくて、会社名も私の名前もちゃんと言えたし、こういうモールって出店するとどうなるのかなぁ、ってちょっと興味もあったので、話だけでも、と聞いてみました。聞いてみてびっくり、結構固定経費がかかるものなんですね、相当の売上と利益がないとこりゃペイできないわ、と、実感。こんな虫けらみたいな店なのに声をかけてくれてありがとう、と、丁重に交渉をお断りしました。

 もう一件、今度はwebShopを改善しませんか、という電話。ここも会社名と私の名前と当社のwebShopの下調べもできていて、加えて、営業のアプローチが極めてユニークだったので (これはその会社の独特の戦略だと思うのでここで教えちゃまずいでしょう)、ついその術中にはまって、契約してみてもいいかな、という気になってきたのです。何しろ今のwebShopには月々3,190円の固定経費しかかけていないので、効果が上がるなら多少お金が掛かってもいいとは思っていたんです。

 でその具体的な作戦を聞くと、いわく、レビューのコメント欄をつけましょう、ポイント制度を設けましょう、検索の上位に上がる仕掛けを施しましょう、などなど、いくつかの提案をしてきます。つまり、みんなが買ってる人気の商品だから、あなたもぜひ買ったほうがいいですよ、という背中押しなんですね。ここで、私、なんだか目が覚めてしまったのです。待てよ、うちのwebShopはそうじゃないんじゃないか、いろんな検索ワードやうちのHPからたどり着いて、やった、ようやく欲しい物が見つかった、誰も知らない宝島を私は発見したぞ、と(ちょっと大げさかな)いう喜びを与えるのこそがうちのwebShopのあり方なんじゃないのか。

 だんだん目が覚めてきたのです。原点に帰って考えてみます。webShopからの売上が上がることは必要なことなんだろうか。そうじゃなかったはずです。4年前に今の場所に移転して、広いスペースに商品を常時展示するということができなくなって、今どういう品物があるんだろう、欲しい色やサイズはあるだろうか、いくらなんだろう、というようなことがすぐに分かるような「在庫一覧表」、言い方を変えると、入荷ごとに紹介していくクリップボードの商品を、アイテム別、ブランド別に並べ替えて、現状在庫を反映させたサイト、これがうちのwebShopじゃないか。

 ご存知のように、当店は、これください、はいどうぞ、みたいな簡単な売買を好みません。これください、に対して、それでいいですか、と、一緒に考えてあげるのが私の存在意義でしょう。だから、webShopに求めているのは、これください、の売上ではなくて、これ私にいいですか、の問い合わせ、なんですね。

 うちのwebShopには代引きや振込などの他にもうひとつユニークな決済方法の選択肢があるのをご存じですか。ご来店、です。つまりweb上で取り置きができるのです。加えて、送料当方負担(送料無料という言い方は間違いですよ。運送会社に失礼です)にしているのは、静岡の店にご来店の人も遠方からwebShopで買う人も扱いは同じ、という考えにあります。

 ですので、開き直っちゃいますが、当店のweebShopは在庫一覧表に徹する、ということで、しばらくは現状のままで進めてまいります。ただし、ここが重要、お客様が利用していて、ここが不便だ、ここは改善したらいい、というご意見はどんどん頂戴したいのです。業者の誘いには簡単に乗りませんが、お客様の意見には柔軟です。HPやwebShopについて、ぜひ改善へのご意見ご提案をいただきたいものです。(弥)