倶樂部余話【370】鵜呑みの旅も悪くない(2019年8月1日)


鵜呑み、というと、ヤツの話を鵜呑みにしてはダメだよ、というように、否定的な表現で使われることのほうが多いようですが、いや、今回の鵜呑みは実に良かったんです。

7月の初旬、初めて岐阜・長良川の鵜飼に行ってきました。ゆかた姿で屋形船に乗り込み、鮎料理を堪能しつつ酒盃を重ねながら間近で鑑賞する鵜飼。信長も秀吉も楽しんだのと同じ何百年も変わらぬ古代の漁法が受け継がれています。だからなんか戦国時代にタイムスリップしたチョット殿様気分です。鵜匠に操られる鵜の鵜呑み、ホントに鵜呑みにするんだぁ、と妙なことに感激でした。

そもそも時間貧乏な私は、旅をすると言っても、出張の用事にかこつけてその前後に慌ただしく街歩きをする、といった程度ことしか考えられなくて、このような大名旅行的な企画は思いつきません。今回は、大学時代のテニスサークル同期、男ばっかり18人の同窓会旅行。卒業して39年、そろそろ第一線をリタイアするものも現れてきて、物故者の出ないうちにぱあっと集まろうや、という企てでして、幹事のたてた計画をまさに鵜呑みにして加わったものなのでした。鵜呑みの旅も悪くないものですね。長良川鵜飼、これホントおすすめです(Jという老舗旅館に泊まることが決め手です)。
おまけとしてその前後に個人の単独行動をくっつけてしまうのが私の癖でして、前に犬山城、後ろに郡上八幡の街歩きを足して、これで全国で118ある「重要伝統的建造物群保存地区」(近頃は重伝建、という略称まであるらしい)をまたひとつ踏破、一泊二日の旅でした。

そうしたらそのうちの一人からまた新たな誘いが。俺の1000本目の記念ダイビングを8月に石垣島でやるので誰か付き合え、と。じゃその話、鵜呑みにするよ、ということでモルディブの新婚旅行以来34年ぶりに潜りに行きます。竹富島歩きをその前のおまけに付けて、重伝建の最西端(かつ最南端)もつぶしてきます。この鵜呑みの旅もきっと悪くないものとなることでしょう。(弥)