倶樂部余話【371】何も書けなくて9月(2019年9月1日)


カレンダーでは一年後半のスタートは7月1日ですが、感覚的には9月1日を折り返し点と感じている人はわりと多いんじゃないでしょうか。昔から夏休みが終わって二学期の始まりですし、季節はちょうど夏と秋の変わり目です。また当社も長いこと8月決算でしたから、8月末の深夜に棚卸しを終えて寝不足で迎える翌朝は防災訓練の交通規制にはまって遅刻する、というのが毎年恒例になっていた9月1日は、また新しい半年が始まるんだ、と気分をリセットする日でありました。

ではとても清々しい晴れやかな心持ちで9月を過ごしているかというと、決してそうではないのです。何しろ私の店の場合、年間売上の半分以上が9月10月11月の3ヶ月で決まってしまいます。商品は海外からちゃんと届くだろうか、客は期待通りに来てくれるだろうか、お金は回るだろうか、もうその心配に追いまくられる毎日なわけです。

そのプレッシャーがどこに現れるかというと、ここに出ます。「『倶樂部余話』が書けない」。普段は仕事に関係あることもないこともわりと平気でつらつら書いてますけれど、9月の倶楽部余話は、読む人を必ず買う気にさせるような文章を書かないと、と、思ってしまうと、何を書こうかどう書こうか、何をどう書いてもきっと気が急いて売る気満々に伝わり、引かれてしまってたらどうしよう、と、考えれば考えるほど、何も書けなくなってしまいます。

しかも今年の9月は例年に増して、未知のことが多すぎます。ブレクジットはどうなるのか、例外の多い消費増税、キャッシュレス決済のポイント還元、海外送金も新たな方法を考えないといけないし、と、不安要素が増します。

でも去年の同時期、売り場もなくし在庫も極端に減らして、本当にこんなんで秋冬は大丈夫なのか、と思っていたことを考えると、うん去年よりはずっといい、なんとかやっていけそうだよ、という自信は付いてきました。

そんなこんなで迎えた32年目の9月が始まりました。800字を超えたので今話はここまで。(弥)