倶樂部余話【446】イヤモニでいいじゃん (2025年12月1日)


 大きな買い物をしました。補聴器。難聴が痴呆症のリスク要因になりうる、と聞いちゃ、絶対にボケたくないんで、家族の勧めもあり大きな出費の覚悟を決めました。メガネ、CPAPに続いて、生命体の維持を機械に頼ることになり、サイボーグ化が進みました。こうして、例えば、人工透析とかペースメーカーとか車椅子とか、これからどんどん機械に頼るサイボーグになっていくのかもしれませんね。


 で、そのためにはまず耳鼻科に行って検査してもらいます。なんかその耳鼻科が弾みになったのか、突然私の医者巡りが始まりました。膝痛で階段が降りられず整形外科に週一で通うことになりつつ、生まれて初めて淡いピンク色の尿が出たので泌尿器科へ。CT撮りましょうって市の検査機関にも回されました。一日3回の薬を一ヶ月飲むように言われてます。するとある朝のことトイレにしゃがむと真っ赤っ赤。6年ぶりの爆発、すわ肛門科、というところだけど、なんだか前と後ろを同時期に診てもらうのも気が引けて、月いち訪問のかかりつけの内科で座薬を処方。胴長で短腕にテニスエルボーの私、座薬に5分もかかる有り様。その間も補聴器店通いは続き、20万から140万円まで何種類かを一週間ごとに試します。11月は年間で一番売上の多い月。その中を、3日に一度ぐらいの頻度で何かしらの医療機関を訪れている感じで、なんだか落ち着かない一ヶ月でした。

 その補聴器ですが、当然ですがよく聞こえます。ああ、知らないうちに沈黙の世界の入口に立たされていたんだな、このままボケてたらエラいことでした、と、おかしな感想です。一番便利になったこと、それはですね、近頃の補聴器はスマホやパソコンとBluetoothで繋げるんです。つまり高性能のヘッドホンになるんです。自分なりに補正された聞きやすい音にしてくれますし、音漏れも全くありません。周囲の音も遮断されないので危険もないです。これだけでも何十万円の価値があるかもしれません。ただ、周りからはそれが全くバレないので、家でラジコを聴いていると、そうとはわからぬ家人から、補聴器付けたのにまだ私の声が聞こえないの、と怒られてます。

 それにしてもこのホチョーキって呼び方、なんとかならないですかね。ウグイスが鳴いてるみたい。英語ではhearing aidっていうらしいんですが、馴染みが薄いですね。補聴器もイヤホンと一緒、耳穴に入れるモニターのひとつなんだから、いっそイヤモニでいいんじゃないですかね。ミュージシャン気取りで。(弥)