倶樂部余話【一三五】定番ってなんだ?(二〇〇〇年七月六日)


「定番」って何でしょう。

広辞苑には「流行に左右されず安定した需要のある商品。商品番号(品番)が定められていることからこう呼ぶ。多く衣料品について言う。」とあります。由来はその通りですが、この定義は違うと思います。米やちり紙ではあるまいし、今時そんな悠長な衣料品などありません。

私の考える定番とは、いつの時代も売れ続けているもの。つまりロングセラーのことであって、スタンダードとかクラシックとは意味合いが少し違います。意地悪く言うと、それは過去の実績の評価であって、縮小経済の昨今では、去年の定番は来年も定番であり続けるとは限らないし、来年は来年の新たな定番が生まれることもあるのです。

「君の処は定番ショップだよね。」とも言われます。確かに当店の全ての商品はロングセラー足りうる素養を持っていると確信してますが、それゆえに新陳代謝を怠ればすぐに陳腐化する店になってしまう怖さもあります。変わらぬ店であり続けることは、進化なく止まっていることとは違うのです。