倶樂部余話【一四〇】忘れ物はないですか(二〇〇〇年一二月五日)


今月することはすべて20世紀最後、来月やることはみな21世紀初。当り前のことですが、それでもいつもの年の瀬よりも気負った気持ちになります。

と言って、輝かしい未来に心ときめかせている、ということでもなく、次世紀は今世紀よりもっと素晴らしい、という確たる心境にもなれません。だってそうでしょう、平成は昭和より素晴らしい未来でしょうか。

だから畢竟、気持ちは過去へ向きます。先人の付けた轍をもう一度確認してみる。そして、この態度こそが「トラディショナル」と呼ぶ思想なのではないかと思うのです。

こういった混沌とした思いをやはり19世紀末の人々も味わったのかな、と考えます。今世紀のうちに、手に入れておきたいモノ、聞いておきたい曲、見ておきたい画像…。うまく言えないのですが、「お忘れ物のないよう、ご注意下さい。」という(何だか車内アナウンスのような)気分です。
  メンバーズの皆様の、今年の師走の心持ちはいかがなものでしょう。20世紀記念のお買い物。セヴィルロウ倶樂部で、お求め忘れのないよう、今一度お手回り品をお確かめください(!?)。 メリー・クリスマス!