【倶樂部余話】 No.228  無駄遣いをさせない店 (2008.1.1)


 あけましておめでとうございます。
 先日来日した大御所デザイナー、ジョルジョ・アルマーニ氏が、記者会見の席で「日本の消費者に何かメッセージを」という記者の問いに対して、三つのアドバイスを語りました。まず「自分を偽るような装いをしない」。次に「ブランドロゴに惑わされない」。最後に「ファッションジャーナリストが書いたり言ったりしていることをうのみにしない」。さすが御大、こういうことはこのくらいの人が言って初めて意味を持つのですね。
 一方、米アウトドア用品のパタゴニアが「売らないビジネス」を主張しています。曰く、モノを作って売ることはそれだけ環境に負担を与える。とすれば直せるものはできるだけ修理をしてあげて、なるべく新品を作らないし売らない。それでも経営の成り立つ会社であるのが理想、ということでしょう。
 この二つの話は、どちらも矛盾をはらんでいて、とても逆説的であり、批判的であって、また皮肉っぽくもあり、しかし、何だか中身には妙な説得力を感じて、思わずうなずいてしまうのです。
 そんな含みで、正月だから風呂敷拡げて言ってしまおう、と思うのです。当店は「お客様に決して無駄遣いをさせない店」を目指そう、と。無駄遣いをさせるモノは仕入れない、置かない、売らない、極力…。これを開店二十一年目の課題にすることにしました。
 本年も変わらずのお引き立てをよろしくお願い申し上げます。(弥)