【倶樂部余話】 No.301 JFKとアランセーター  (2013.10.28)


 駐日アメリカ大使にJFK(ジョン・F・ケネディ元米大統領)の愛娘キャロライン・ケネディ女史が着任することが話題です。で、私もひとつJFK小話を。

3011_2 一枚の写真があります。アランセーターを米国や日本に輸出し広めた最大の功労者として招かれたパドレイグ・オシォコン氏がJFKと言葉を交わすこのシーンは、1963年6月アイルランドの首都ダブリンでの一枚。61年にアイルランド系カトリックとして初の米大統領に就任したJFKが、曾祖父の故郷の地へ凱旋を果たしたときのショットで、オシォコン氏の自宅の居間にひときわ大きく誇らしげに飾ってありました。

 このJFKが活躍した同じ頃、全米のアイドル的存在だったのがクランシー・ブラザースです。3012

アイルランドのフォークソングをアメリカに伝えた4人の兄弟グループですが、彼らの揃いの衣装が白いアランセーターだったことからアランセーターの普及に大きな後押しとなったのでした。アイルランド・ウェルカムのこの時代、JFKとクランシーズとアランセーター、この3つは同時進行的に人気を上げていったといえます。
 クランシーズがJFK夫妻の眼前で演奏したときの映像を今はYouTubeで観ることができます。もちろん全員白いアランセーターなのですが、なぜか裏返しで着ているメンバーがいます。御前演奏に慌てたのでしょうか、それとも当時のはやりだったのか。
 
 残念ながらJFKがアランセーターを着ている写真は残っていません。これがあれば何よりの販促物になったはずでした。きっと訪愛を果たした年の冬には絶対に着るつもりだったに違いないのですが、訪愛のわずか5ヶ月後、冬を待つことなくその11月に彼はダラスで凶弾に倒れてしまうのでした。(弥)