倶樂部余話【385】 嬉しい通し番号(2020年11月1日)


オーダーを受けた控えは通し番号を振って保管します。

その数が一番多いのがオーダーシャツでして、これはもうすぐ3000番になります。番号は一人ずつ振りますがシャツは一人で複数枚を頼まれることも多いので、枚数としてはおそらく軽く4000枚は超えるでしょう。基本的には受注順に重ねていくわけですが、5000枚近くもあると、前回と一緒でいいよ、という方ばかりではないので、数年間の過去データを拾うのも一苦労で、何人かのお客様については個人別にファイリングをして対応しています。いっときすべてのオーダーシートをスキャンして電子化しようと試みましたが、貼り付けてある生地の端切れが何よりも重要であることがわかり、作業量の膨大さも想像できたのであえなく断念しました。

スーツやジャケットなどの重衣料は、33年間の間に10社を超えるいろんなファクトリーと仕事をしてきたので、各社の通し番号は意外に進んでなくて、現在主力の豊橋のファクトリーでもまだ500番台半ばなのです。腕のいいスーツの国内工場がこの20年でどんどん減ってきているということの象徴かもしれません。

通し番号が1000番を越えているのが、誂え靴です。当店は靴の専門店でもなくまた同じ誂え靴を導入している店も全国に多々ある中で、16年間で1000足以上の実績は誇れると思います。品質と価格とのバランス、予めよく練られたどこにも真似の出来ない画期的な受注システムなど、当店との相性が大変良かったんでしょう。当店ではスーツと並んでリピーター比率がとても高いのが靴でありまして、これが何よりの信頼の証と言えるのではないでしょうか。

オーダー品ではないのに通し番号を打って管理しているアイテムがありまして、それがアランセーターです。これもまもなく1000番になります。2006年にホームページでアランセーターを紹介しようとした際に、一枚一枚の個体差があまりにも大きいアランセーターを管理する必要に迫られ、店にあった在庫を一枚ずつ写真に撮って寸法も計測し個体番号を振ったのがそもそものきっかけです。以来入荷するたびに通し番号を付けて、これがもうすぐ1000番。番号を振る前から相当数のアランセーターを1987年以来売ってますからこれまでの販売枚数としては多分1500枚を超えているでしょう。それにしてもまさか通し番号が4桁になろうとは、思ってもみませんでした。これも売れるごとにデータ用紙に購入者のデータを書き込んで綴じていきますので、14年分のアランセーターのオーナーズリストが出来上がっているわけです。10何年前に買ったカーディガンのボタンがひとつ欲しいんだけど、といった問い合わせがあるとこのリストが役に立つわけです。これは私の勲章、私の宝物ですね、天国でアランのおじいちゃんことオシォコンさんに会ったらこの分厚いファイルを見せて、よくやったと褒めてもらいたいものです。(弥)