【倶樂部余話【一四三】狂牛病(二〇〇一年三月五日)


英国に端を発した狂牛病と家畜への口蹄疫で、EU諸国は大混乱してます。

先日来日したスペインの皮革メーカーに、昨年と同じ品を発注したことろ、大変困った顔をして、去年と同じ値段ではとてもじゃないが請負えない、と言うのです。聞けば、四倍近く値上がりしている革もあるらしいのです。

イタリアから皮革材料を輸入している取引先のバッグメーカーも、牛革の不足と高騰で、企画を立てても生産の目途が立たず、頭を抱えています。

また、先週には、英国羊毛公社が、英国羊毛の対日輸出を停止してしまいました。検疫検査に引っ掛かる恐れがあるのだそうで、我が国の毛織物やニットにも影響が出るかもしれません。

アイルランドは、感染を恐れて、ラグビーとサッカーの国際試合を中止しましたし、日本の厚生労働省は、西欧七ヶ国内に半年以上住んでいた人の献血を拒否すると発表しました。

狂牛病なんて、食品や医薬品の業界の問題だろう、などと考えていたのに、とんでもないことになってきました。ことさらにパニックを煽るつもりはありませんが、つくづく地球の狭さを実感し、怖さを覚えます。これが杞憂に終わることを祈るばかりです。