倶樂部余話【一五〇】十五年目の秋(二〇〇一年九月一日)


九月です。暦を知らない蝉法師や向日葵が心なしか気の毒に思えます。

ところで、三月と九月はどちらが暑いかお分かりですよね。なのに、洋服屋は、三月に暖房を入れ夏物を売り、九月に冷房を効かせ冬物を薦めます。 季節の先取りは当然としてもあまりの行き過ぎもどうか、と少し考えを改めました。従来は、九月中にできるだけ真冬物まで仕込んでしまって、さぁどこからでも掛かって来い、という姿勢でしたが、 今年は冬物の仕込みを意識的に遅らせようと考えています。

具体的に言うと、レディスはふた月先に着るものまで、メンズはひと月先のものまで、というのを入荷スケジュールの基本としました。つまり、メンズの展開はレディスよりひと月遅れとなるわけですね。 これは経験則から適性な時差だと思います。

言い方を変えれば、今までよりも秋物をしっかり見ていただきたいと言うことでもあります。従前から得意のセーターやジャケット、アウターばかりに偏重せず、シャツやボトムスにもオススメはたくさんあるのです。

余話第百五十号、当店十五年目の秋は、いつもより少しスローにスタートいたします。