倶樂部余話【七】今年は九連休――どうしますか?(一九八九年四月十日)


今年のゴールデンウィーク(GW)は、空前の九連休となる方もいらっしゃるようである。

「忙しくてなかなか休みが取れないょ。」というボヤキも、かつては「仕事の出来る男」のプライドあるセリフであったが、今ではそれも「私は休みも取れない無能力な男です」と告白しているかに聞こえる。(かく申す私自身、いまだに最低の無能男であるが…)時代は確実に変わってきた。カッコよく休むことが美徳となった。

休みの量が確保されると、当然その質を高めることに精を出す。何しろ九日間だ、家でゴロゴロにも限度があろう。もはや「リゾートライフ」という言葉も夢ではなくなり「ビジネスライフ」と同等の価値で考えていかねばならなくなった。そして「リゾート」となると、悲しいかな、まだまだこれは欧米に見習わねばならない部分が大きい。

昼間バードウォッチング風のアウトドアスタイルの中年男性が、ディナーではさりげなく良質のジャケットをはおり、鳥の柄のタイなどで、そのリゾートにふさわしい、趣味のいい小粋な演出をしてたりする。彼等はリゾートの服装に関して、自分たちが気後れせず、かつ周囲の人々に不快感を与えずに、その時その場所を最大限エンジョイする術を体得している。

さて、このGWに海外へお出掛けの方も多いだろうし、またそうでなくとも一度はちょっとしたレストランでご家族と食事ということもあろう。女性の方は気分を昂揚させ、その晩を楽しむのに最もふさわしい服装を、と最大限の関心を払っていることだろう。なのにパートナーの男性が、相変わらずのポロシャツにブルゾン、あるいはビジネスと全く変わりないスーツにネクタイでは、せっかくの雰囲気に水を差しはしまいか。

ということで、この度「リゾートジャケット」の特集を考えた。カジュアル気分のあるジャケットを百着ほど揃える予定。皆様のGW対策にいくばくかでもお役に立てれば幸いである。

 

 

※しっかり読んでいくと、なんだか最終段落でガクッとしますね、「なんだ宣伝かよ」って。この時期は、月一回のミニ・イベントと余話が連動して、一枚のハガキになっていました。

 

でも、ジャケット百着の在庫を借りるフェアなんて、今ではできないイベントですね。確かこのときは三社ぐらいから借り集めたはずですが、その三社はみんな今はもうない会社です。