【倶樂部余話】 No.254  「引っ越し通知」の届く店(2010.2.1)


 あなたの家にはひと月にどのくらいのダイレクトメール(DM)が届くでしょうか。封も開けずにゴミ箱行き、というものもあれば、もしかしたら一生を左右するような大きな出会いになるものまで、きっと様々でしょう。その中で、もしあなたが転居したとして、こちらから新住所を知らせておきたいな、と思える先がいくつあるでしょうか。あるいは、お店などから来た商的な年賀状に対して返信を出したことがあるでしょうか。残念ながら私の家に届くDMには一つも思い当たる先がありません。
 ところが、です。当店には「引っ越しました」というお客様からのお知らせが頻繁に届くのです。また正月には多くのお客様から年賀状を頂戴します。これらのことは結構自慢できることなんじゃないか、と感じています。
 言うまでもないことですが、お客様には転居通知や年賀状を私たちに出さねばいけない義理も義務も責任も、何もありません。なのにどうして…。自惚れて言うなら、きっとこの静岡の小さな店を、そして毎月発信する黒い小さな文字ばかりが並んだこの官製ハガキを、「顔の見える店、私のハガキ」として大事にしてくれているからなのでしょう。
 お客様から貰うもの、それは商品代金だけではありません。催促しているわけではありませんが、でも、転居通知や年賀状、店であるがゆえに、実は本当に嬉しくてたまらないものなのです。(弥)  

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