【倶樂部余話】 No.269 ロイヤルウェディング (2011.4.25)


 今年のオスカーを獲った映画「英国王のスピーチ」を観ました。ジョージ6世の吃音を巡る実話で、リーダーに必要な資質とは何なのか、を考えさせられました。もうひとつの私の関心は、主役の兄で、人妻との恋のために王位を捨てた、エドワード8世(ウインザー公)の方にもあり、今もメンズファッションに大きな影響を残している彼の服装をじっくりと観察することでした。グレンチェックの柄がプリンス・オブ・ウェールズ(=皇太子)の別名で呼ばれているのもなるほどと納得。紳士服飾界では、稀代の大先生として、数え切れないほど多くのお手本を示してくれた彼ですが、国王という立場ではちょっと困ったお方だったんですね。
 さて、この映画の主人公のひ孫にあたるのがウイリアム王子。彼とケイト嬢の挙式が目前に迫りました。彼の両親、チャールズとダイアナのあの時から三十年振りのロイヤルウェディングに、国内外から注目が集まっています。時節を得たように礼装の知識についての特集も多く目にするようになりました。仕事柄、近刊の本や雑誌には大体目を通しましたが、私が皆様に長年アドバイスし続けているフォーマルの知識にほぼ間違いはなく、ひと安心しています。皆様が完璧に覚えておく必要はありませんので、困ったらどうぞ私に聞いて下さい。
 婚礼の映像に、きっと世界中の視聴者の目は花嫁衣装にばかり注がれるのでしょうが、私は新郎始め男たちの服装を目を皿のようにしてチェックすることになるでしょう。楽しみです。(弥)