【倶樂部余話】 No.318  ラジコと砂ワカメ (2015.4.1)


 ラジコ・プレミアム。これはものすごい快挙だと思います。首都圏の人には信じてもらえないかもしれませんが、静岡県は民放ラジオがAMとFM各一局のたった2局しかないというラジオ最貧県で、ずいぶんさみしい思いをしてきました。音楽番組もスポーツ中継もニュースも深夜放送も、聞きたいものが選べない。それが、ラジコのおかげで全国のほとんどのラジオが聞けるようになったので、選択肢が無限大のごとくに拡がりました。ラジオでの首都圏と地方との情報格差はテレビ以上に大きな開きがあったのですが、ラジコはその格差を一気に解消した便利ツールなのです。
 対して砂ワカメ。先日知人からもらったのですが、これが驚くほどうまい。御前崎あたりで三月に採れた新鮮なワカメを滋味を閉じ込めるために大量の砂をまぶして保存するもので、春の風物詩のひとつらしいのですが、静岡の人でも知らない人が多いかなりマイナーな特産品です。地元のスーパーでもほとんど見かけないのは、安すぎる価格と砂まみれという厄介さのせいなんでしょう、つまり売るにはあまりにも不便なわけです。売ってないのだからいくらお金があっても買えない、まさに真の地域限定品ということになります。
 格差をなくす便利さもありがたいし、不便さゆえの格差を楽しめるのもまたうれしい。春の始まりにそんなことを考えました。(弥)