旧知のファッションディレクター赤峰幸生さんから
「実はね、グレンオーヴァーを復活させるという計画があるんですよ」
と電話で知らされたのは去年の夏のことでした。
それがやっとカタチになって商品が店に並びました。
果たしてどのくらいの人がその名を記憶しているのか分かりませんが、
私にとっては懐かしいブランドです。
80年代後半、メンズトラッド業界を席巻したブランドとして、
当時は当社でも年間ン千万円の売り上げがあり、第一位の仕入先でした。
まさか20数年を経て、また『グレンオーヴァー』を扱うことになることになるとは、感慨ひとしおです。
と、まあノスタルジーに浸るのはこのくらいにして、商品紹介です。
先週、赤峰さんに直接お会いしてみっちり説明を受けてきました。
☆オフィサーズトレンチコート 98,000円(税別)
カテキュウとネトルの2色。
赤峰さんの所有するアーカイブから掘り起こしたクラシックなトレンチコート。
オフィサー(officer=将校)用なのでエポレットやDリング、ガンショルダーなど武器装着のためのパーツは省かれています。
本来の軍服らしい着方を推奨したいとのことから、長めの着丈、ゆったりめのシルエットに仕上げ、
全季節対応を目的に袖にも身頃にも裏地は付けていません。
赤峰さんがどうしてもと譲らなかったのがこの素材と染料。
この綿生地、遠州浜松にある旧式のシャトル織機を使って、
ギザ88エジプト綿の強撚糸をゆっくりと二重高密度織り、にしたグレンオーヴァーのオリジナル素材。
産業革命初期の英国綿織物のイメージから、グラスゴーコットンと名付けました。
染めは天然染料で、赤褐色の方はカテキュウ染め。(アカシアの一種)、防腐剤としての効能もあるので古くから軍服を始めテントや幌にも使われてきた染料です。
カーキ色の方はネトル染め(イラクサ)。ハーブとしても使われるイラクサは防虫効果があり古くから英国陸軍服に使われてきました。「ブリティッシュカーキ」という言葉はここから生まれたのです。
つまり、ただ、この色が売れそうだから、とか、カッコいいから、いうことではなく、意味を持つ染料と色出しだということです。
(この辺のくだり、久々に赤峰節炸裂、という感じでした。こんなに学者風に服を語れる人はこの人をおいてほかにいないのです。)
赤峰さん自身の着用シーンはこちらをご覧ください。
☆シューティングジャケット 78,000円(税別)
カテキュウとネトルの2色。
トレンチコートと同じグラスゴーコットンを使って裏なしのジャケットです。
背中両サイドのアクションプリーツや立ち襟もできるスロートタブなどなど、
こういうものを作らせると昔からやっはりグレンオーヴァーはうまかったよなぁ、と思い出します。
☆マウンテンジャケットコート 88,000円(税別)
オフホワイトとネイビーの2色展開。
アーカイブにのっとったクラシックな服だけでなく、
新しい素材で新しい服を作り出すこともグレンオーヴァーの得意技でした。
ロングコートなのにフード付きでスポーティ、というナイロンコート、
赤峰さんのオリジナルなアイデアでした。
このナイロン、この手の生地作りでは名の知れた、福井は丸岡の第一織物によるもので、
DICROS D.N.A.という素材。ダウンウェアのシェルとしても使われることが多く、防水性の高い高密度織物なのに動きの大変いい生地として定評のある素材。
これを表裏の二枚合わせで使っていますので、全季節対応のレインコートとして重宝です。
このコート、「卒業」のダスティン・ホフマンが着ていたマウンテンパーカーをコートの着丈に長くしたアイデアなんだそうな。
こちらのリンクをご覧ください。
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亡くなった父がもう昔から赤峰さんのことを大変買っていたのです。たぶん70年代半ばごろ、WAY OUTの時からの縁で、そのころの赤峰さんまだ20代後半だったはずです。つまり40年来のお付き合いということになりますね。
赤峰幸生さんの会社インコントロのサイトはこちら。