最新更新の倶樂部余話No.285に書きましたとおり、
開店25周年を記念して、オリジナルのスーツ生地を作っています。
題して「プロ棋士たちのスーツ」
長時間の正座にも耐え、シワの復元力もあり、
それでいて激しい動きにも対応でき、
長い季節に使える、という服地です。
倶樂部余話の方には、感覚的な書き方をしたので、
ここではもう少しデータとしてお話しします。
「平織りの430g」。
近いというと、英国製のドーメルのスポーテックス(380g)やハリソンズのフロンティア(300g)が生地の感じとしては類似です。
430gですから、グラムの目方だけ見るとこの二つの英国素材よりも重たいのに、
仕上がりはふんわりとしています。
これは葛利毛織独特のションヘル織機によるところが大きいです。
ゆっくりと空気を含ませながら織られているからでしょう。
当然ナチュラルなストレッチ感にも優れています。
糸も特殊です。英国羊毛を50%入れているので、コシとハリがあり、
最初は堅めでも使ううちに馴染んでいく、という、
英国服地の特徴である、いわゆる「つぼみ」の状態の糸です。
この1/40の原糸を2本引き揃えて、その引き揃えた糸をまた2本撚ることで一本の糸にして、
ションヘルの織りにかけるという、手間暇かけた素材であります。
濃紺と明るい紺の2色使いの細かい格子織りで、ピンヘッドともいわれる柄です。
想定している着用期間は、真夏と真冬を除いた9ヶ月。
いい意味で、季節感を打ち消した、というのも特徴です。
普通こういう別注生地は二反(約100m)から、というのが常識なのですが、
葛利さんにわがままをお願いして、一反(50m)で受けてもらいました。
ですので、スーツにすると約15着ということになります。
価格です。
価格は、ファクトリーによっても、あるいはスリーピースにするとかダブルブレストにする、
など、仕様によっても異なりますので、参考価格として提示します。
クオリティライン・シングル上下で、99,750(税込)です。
(クラシックラインは+26,250、バジェットラインはマイナス19,950です。
ファクトリーの違いについてはこちらをご覧下さい。)
生地が仕上がるのは8月末から9月初め頃の予定です。
そこから仕立てに掛かりますので、
出来上がるのは早くても9月下旬、お彼岸過ぎの頃だと思っていて下さい。
現時点では、現物の生地がまだ仕上がっていないので、
仮予約を受け付けるという段階です。
お申し込みに際しては、用尺を算定する必要がありますので、
シングルブレストかダブルブレストか、
上下のみ(ツーピース)か三揃え(スリーピース)かスペアパンツ付きなのか、など、
最低限のことだけはあらかじめ決めてからお申し込み下さい。