学びのコラム「糸偏雑筆」を追加しました。第11話「それフォーマルですか?」
こちらからお読みください。
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糸偏雑筆【番外】靴を作ろう!!~22年振りの大リニューアル。について (2026年6月16日)
今回は、糸偏雑筆の場を借りて、オーダーシューズのリニュアルについてお話します。22年振りの一大変革で、通常の新着情報では説明し切れない内容ですので、このようなカタチを取りました。
本題に入る前に2つほど前置きです。当社の注文靴が2004年以来宮城興業(山形県南陽市)のカスタムオーダーのシステムと提携をしていることは言うまでもないこと(導入の経緯につきましては倶樂部余話【187】参照」)ですが、その販売方法については、各販売店が独自に考えることになりまして、その責任の証としてジャックノザワヤの注文靴には当社ブランドSavileRowClubを刻印しています。ですので、今回のリニュアルに関しても当社だけのお知らせ事項でして、宮城興業からのお知らせでもなければ、宮城興業のカスタムオーダーを扱う他のお店も全部そういう変更になるということでもありません。もちろん今回は宮城興業自体の大きな変革が契機であることは間違いないことで、それについては他のお店からもいろいろな表現で説明がなされることでしょうが、ここで申し上げるのはあくまでもジャックノザワヤとしての表現ですので、何卒ご理解くださいますようお願いいたします。
付随して、このお知らせは、ジャックノザワヤの顧客を対象として発信しています。顧客の中にはプロ顔負けの詳しい専門知識をお持ちの方もいらっしゃいますが、ほとんどの方はいわば普通の素人の皆様です。ですので当社の今までの注文靴のやり方をある程度ご存知であるということは前提としつつも、なるべく平易で簡潔な表現で説明しますので、詳しい方には物足りなさを感じるかもしれませんが、どうかご理解願います。
さていよいよ本題です。まず最初の一大事。作りが格段にグレードアップします。特に足の後ろ半分、かかと側のほうが大きく改善されます。かかと内部の材料に特殊な革素材(床革(とこがわ))を使用することで履く人の足型に応じて応変してフィットするという手法を採ります。これを「床(とこ)カウンター」と言います。これを説明すると長くなるので説明を省きますので、興味のある方は調べてみてください。それから、くるぶしが当たる、とか隙間が空く、というクレームも目立っていたので、くるぶし部分を下げて履き口を縦長にシャンとさせたりという調整をミリ単位でしています。もう一つ、この仕様にしますと、女性への対応が従来よりもしやすくなる、という副効果もあります。
靴の場合、中身が全く見えませんし、どれだけ改良されたのかは、結局のところ履いてみなけりゃわからない、という要素が強いのですが、宮城興業の最初の研修生にして若き新社長、荒井さんの言うことには、カスタムオーダーの分野で日本一を目指す、と、宣言しているので、この22年間の付き合いからその言葉にウソはないと確信し、この新仕様をぜひ実感してもらいたいと希望します。
次にデザインについてです。まずラスト(木型)について。SQ(スクエアトゥ)とES(エッグトゥ=ラウンドトゥ)、そしてMD(宮城デン=オブリーグトゥ)、の3つに統一。今までのCS(チゼルトゥ)は廃番になります。(デザイン一覧はこちらのリンクからご覧ください) 最新カタログ
まずSQとESについて。ESは22年前のスタート時から継続しているおなじみのラストですが今回からすべて新仕様にグレードアップします。SQは2025年から始まった新仕様による新ラストで、わかりやすく言うと、英国ノーザンプトンに代表されるEグリーンやチャーチやC&Jなどの各ブランドに通じるとても英国的なスクエアトゥのラストです。そして、ここ大事、SQとESは相互乗り入れが可能です。足長(捨て寸)もほぼ同じです。SQ/ESには全く新しいデザインもありますし、また従来のESの型紙を修正したりしながら、展開品番を急いで増やしています。7月のスタート時点では一部間に合わないデザインがありますが、それについては準備が整い次第スタートとなります。なお、この新体制に伴い、従来のCS(ロングノーズのチゼルトゥ)は廃番となります。(どうしてもCSが欲しいというリピータの方のためにしばらくは旧仕様のままで受注を承ります)
それと、ソール(底材)について。今までは革底を標準仕様にとしてきましたが、今回から、タフスタッズという宮城興業が開発したプラスティックラバーのソールを標準とし、革底仕様はオプションとします。日本の気候や歩道事情、耐久性、を鑑み、現実的な対応をすることにしました。これはSQ/ESだけでなくMDも同様です。
そのMDですが、こちらも新仕様にグレードアップし、新デザインも加わります。オールデンのドレスシューズをリスペクトすることから始まったMDシリーズですが、今後はRedWingやDannerなどを意識したワークテーストへもその範疇を広げていきます。チロリアンシューズやサイドゴアブーツ、発泡ラバーのホワイトソールなど新提案が目白押しです。
最後に価格について、です。2年前の大幅な値上げの際に、価格体系も複雑になっていましたが、これも見直します。これは私の考えですが、いくら仕様が良くなったからと言っても、やっぱり価格設定は大切なんです。当店としてはなんとか4万円台を維持したい、ということで、基本価格を49,800円(税別)に設定します。デザインによって、あるいは追加仕様については、追加オプションで対応します。
以上の内容を11ページのカタログにまとめました。ただしまだまだ制作途中ですので、完成版ではありません。こちらでご覧ください。
なお品番中にA,B,C,の文字がありますがそれがその品番のカテゴリーになり価格に呼応します。
最新カタログ
この新体制は2026年7月16日からスタートします。新しいサンプルも届きます。そしてスタートキャンペーンとして先着20足ぐらいには何らかの特典を考えています。どうぞ開始時までじっくりとご検討いただいて、新しい一足をご注文ください。
新しくなる「靴を作ろう!!」にどうぞご期待ください。
ジャックノザワヤ
野沢弥一郎
糸偏雑筆【8】前後左右の話 (2026年4月16日)
今回は服の前後左右の話。
まず、前後のこと。ガンジーセーターという英国の漁師が着ているセーターがありまして、このセーターは前と後ろが全く同じ作りでどちらで着てもいいという珍しい服です。
着てみると、首周りが独特の形状になるし、肩線がおかしな位置に来るし、慣れないうちは少し違和感を感じます。それがこのセーターの味なのだと捉えていただければいいのでこのセーターに文句をつけるつもりはありませんが、まあ、そのくらい、人間の前と後ろはその作りが違うので、ほとんどの服には前と後ろがあります。原始時代の貫頭衣にも前後ろはありますし、前後ろ同じ服というのはガンジーの他にはポンチョぐらいかな、と思います。「うしろまえ」つまり前と後ろを逆にして着ることをいいますが、うっかり間違えやすいのが、タートルネックのセーターです。首の縫い目は必ず左側に来ると覚えておけば間違えることはありません。なぜ左側なのか。
で、ここから左右の話になります。鉄則があります。戦いのとき剣を持つのは右手ですから、剣を振るって邪魔になるものは全部左側に配置します。帽子の羽飾り、上着の胸ポケット、衿のフラワーホール、腕時計や指輪。剣の鞘(さや)からタートルネックの縫い目まですべて左側です。逆に右側にあるものは利き腕である右手で使うものです。上着のチェンジポケット(脇ポケの上に付く小さなポケット)は小銭(=change)入れ、トラウザーズのウォッチポケットは懐中時計入れです。忍びポケットってわかりますか、右のポケットの中に更に小さいポケットがあるでしょ、あれを忍びポケットと言って、コインやキップ、指輪、錠剤など小さいものをしまいます。余談ですが、ジーンズの基本スタイルをファイブポケットと呼びますが、その5番目のポケット、右にある四角い小さなポケットですね、これは忍びポケットが変化したものです。
合わせについて。ダッフルコートやPコート(正しくはリーファージャケット)は左右どっちの合わせでもできるようになっていて、これは海上の風向きに対応するためだと言われています。これは例外でして、ボタンは右手で留めますから、服の原則は右にボタン、左にボタン穴、つまり右が下で左が上になります。これを右前(みぎまえ)と呼びます。え、反対じゃないの、だって左のほうが前側にあるよ、って思っちゃいますよね。これ、特に和服の着方で混同しがちです。左前は死装束、タブーですから。ここはしっかり覚えてください、
ここでいう「前」というのは「先」という意味です。青森の弘前は「ひろさき」といいますね、あれです。だから右前というのは「右が先」(つまり右が下側)ということなんです。つまり、服は、洋服も和服も右前なんです。
さて、最大の謎は、レディスです。洋装のレディスだけは左前なんです。おんな合わせ、と言われます。不便なのになぜなんでしょう。これには諸説ありまして、最も有力なのは、その昔高貴な御婦人は服をメイドに着せてもらうので、メイドがボタンをはめやすいように合わせを逆にした、という説。他にも、女性に武器を持たせないため、とか、男が間違って女の服を着ないように、とか、なんだかジェンダーレスの今の時代にはそぐわない話ばかりです。決して女合わせを否定はしません、女らしい服というのも必要ですし、それには女合わせのほうがふさわしいでしょう。でも、今となっては、どっちでもいい、というぐらい、ゆるーい慣習、だと捉えておけばいいんじゃないかと思います。女が男の服を着てもいいように、男が女の服を着たっていい、だから合わせだってどっちでもいいんです。
私が50年ほど前に買って今でも大事に着ている米製(Eddie Bauer)のマウンテンパーカーがあります。
これ、前立のスナップボタンは男合わせ(右前。オスが左でメスが右)なのに、内側のジッパーは女合わせ(オスが右でメスが左)なんです。だからジッパーがはめにくい。ずっと不思議に思っていたんですが、今頃になってやっとその理由がわかりました。アウトドアの危険な場面では、左右どちらの手しか使えない時がある。そんなときでもコートの前を閉じられるようにあえてこのような仕様にしたのではないでしょうか。
今回の話はここらへんで締めます。実は、左右の違いは、格の優劣の話につながって、これが東洋と西洋では反対だったり、上手(かみて)下手(しもて)だとか、お雛様の並べ方とか、婚礼の席次だとか、色んな話に発展するのですが、興味のある方は調べてみてください。糸偏の者の話としてはこのあたりで失礼いたします。(弥)
糸偏雑筆【7】クリーニングの誤解 (2026年3月20日)
糸偏雑筆のネタ、どんな話がいいでしょうかね、と、古い顧客に尋ねてみると、手入れの話なんかどう、あのクリーニング屋さんの話、また紹介したらいいよ、との声をいただきました。28年前の倶樂部余話第114話(1989.12.1.)に書いたこんなことです。
永六輔的「語録」で今年の余話を締めくくってみます。
◎商品試験や作業場見学など、お世話になっているクリーニング業のオヤジさんI氏。
「いいかい、クリーニング屋の仕事ってのは、服の汚れを完璧に落としてキレイにするのが第一なんだ。それを新品同様に戻してくれる仕事だと勘違いしてる客が多すぎるよ。誰もそんな魔法は持っちゃいないよ」(これは、目からウロコでした)
(後略)
いかがでしょう、今聞いても目からウロコの人はいるんじゃないでしょうか。どんなものでも使っていれば経年劣化するのは当然で、原状回復は不可能です。でもクリーニングに出すとその不可能が可能になって戻ってくるんじゃないかと錯覚してはいないでしょうか。洗濯にも同じことがいえます。洗剤の宣伝で「白さが元通りに」なんて言われると、品質まで元通りになるんじゃないかと思ってしまいます、ホントは白くする薬材が入っているだけなのに、です。大切なことは何度でも言わないといけませんね。クリーニングは汚れを落とすのが仕事、新品同様には戻らないのです。
さて、ドライクリーニングってどういうものか、これも誤解している人が多いです。水で洗うのがウェットクリーニング、石油溶剤で洗うのがドライクリーニング、です。そう、どちらも洗うんです。ここで言うウェットとドライの意味ですが、濡れている、乾いている、ということじゃないんですね。ウェットは水を使う、ドライは水を使わない、というそういう意味なんです。これ、普通の人はわかんないですよね。水で洗うと縮んだり固くなったり型くずれしたりする恐れのあるものに対して、水の代わりに石油溶剤で洗う、これがドライクリーニングなんです。
それから、ドライのほうが水洗いよりも、服に優しい、あるいは、より汚れが落ちると思っている人がいますが、それも誤解です。石油で手を洗って肌にいいわけがありません。基本は水洗いです。特に汗や醤油ソースなどの食品などの水溶性の汚れについては水のほうが圧倒的によく落ちます。対して、皮脂やファンデーションなど脂溶性の汚れにはドライが強いわけです。誤解ついでにいうと、セーターを水洗いしてはいけない、と思っている方、それも間違いです。市販のほとんどのセーターは最後の仕上げの段階で水洗いをしています。洗剤以外に柔軟剤や香料を入れるところもありますし、例えばジェイミーソンズのようにわざわざ乾燥機で20%も縮ませるところもあります。はい、セーターは水洗いすると風合いが良くなるんです。大事なのは乾かし方で、熱を加えると縮みますし、型崩れしないように整えてあげることが肝要です。
さて、当店のアランセーターの項目に、お手入れは「何もしない」のが一番です、と書いてあるのを見たことがありますか。随分ぶっきらぼうだな、と思われた方、そうじゃないんです。ここまでお読みいただければおわかりでしょう。何もしないのが一番なんですって。
糸偏雑筆【6】ダウンとマフラーのお話 (2025年12月15日)
冬になるといつも話している2題です。
まず、ダウンの話です。ダウン(羽毛)とフェザー(羽根)の違いはわかりますね。フェザーには羽軸(芯)があるから見た目で区別できます。ダウンは水鳥の胸に生えるもので陸鳥には生えません。だから鶏(ニワトリ)の羽根をいくらかき集めてもダウンはありません。
そのダウンには、グース(goose(複数形geese)=ガチョウ・雁(ガン)の仲間)とダック(duck=アヒル・鴨(かも)の仲間)があります(ダックの肉は日本では鴨肉と呼ばれます)。その性能の優劣は歴然でして、もちろんグースが上です。ただ見分けるのが難しい。しかもダウン製品はシェル(外衣)に覆われていて中のダウンが見えないのです。でも決定的な違いがあります。それは、ダックは濡れると匂う、のです。獣臭なので素人でも割とすぐに分かります。そもそもダウンは水鳥の胸毛なので濡れることはへっちゃらで乾けば元通りになるので、水洗いはできるのですが、
ダックは濡れると臭うのでそれを嫌って水洗い不可の表記をするところもあるようです。なにより、優劣があるので、グースの方は当社はグースですと誇らしげに表記するのに対して、ダックの方はわざわざ当社はダックですと明記するところは稀で、つまり、グースと明記してなければダックだろう、と類推するしかないわけです。中には、ブランドネームにグースと謳っているのに使っているダウンはダック、という北米の有名ブランドもありますので、ブランド名だけで信じてはいけません。
ダウン製品の品質には、他にも洗浄の巧拙や量の多寡、縫製の丁寧さなどの評価判断もあるので、例えば洗浄も稚拙で量も少なく縫いもダメなグース製品もあれば、完璧な洗浄でしっかり量もあリ丁寧な仕立てのダック製品というものも存在しているわけです。が、ダウン製品の場合、価格はほとんど中身のダウンの相場価格に左右されますから、中身の品質の違いが価格に比例しやすいジャンルの製品だとは言えるでしょうね。3年前に同じような話を書いてますので、こちらも読んでみてください。
倶樂部余話【411】マザーグースのおはなし(2023年1月1日)
次はもっと簡単な話。マフラーの裏表。ブランドラベルの付いている方、それは裏です。他の洋服のことを考えればすぐに分かるはずです、ブランドラベルが表に付いている服がありますか。スポーツ選手やカーレーサーのユニフォームにブランドがベタベタあるのは、そこがスポンサーだからで、それは例外です。

写真はある通販会社のサイトの抜粋、ずらりと並んでいると見ている方まで恥ずかしくなります。はい、ブランドラベルは内側に折って隠してください。リバーシブルのときは仕方ないので見えないように工夫しましょう。もしくはラベルを外してしまいます。チラ見えは許せるとしても堂々と見せるのだけはやめてください。お店でブランドラベルが見えるように畳んであるのは、むやみやたらに触って欲しくないからでこれは売る側の都合です。もっと言うなら、売る側はそれをちゃんと説明してあげるべきです。
売る側の都合といえば、ジャケットやコートの袖先にときどき付けられている織りラベルがありますね。お店は売るときにちゃんと説明して外してあげなくてはいけないです。袖ラベルの女、と私が名付けたのが34年も前のこと。倶樂部余話【37】私は見た、袖ラベルの女(1991年12月24日)
先日渋谷駅で久しぶりに発見しました。持ち物のご様子からウェディング業界にお勤めの女性の休憩時間とお見受けしました。袖を通さずに肩で羽織るようにしてました。生まれて初めての盗撮、緊張しました。
糸偏雑筆【5】サイズのあれこれ (2025年11月17日)
サイズの話です。
英国モノのサイズ、セーターやスラックス、シャツなどの表記です。セーターだと・・38.40.42.44.・・とか、スラックスも・・30.32.34.・・と偶数ですし、ドレスシャツには16.5–34、などと、首周りと裄(ゆき)丈(肩巾の半分+袖)が書かれてますね。この数字の単位は何でしょうか。
これはこ存じの方も多いことでしょう。はい、インチinchですね。1インチは約2.54cmですので、セーターの40は約102cm、これが胸囲の仕上がり寸法です。
スラックスも同様に32だとウエスト81cm上がりです。ブランドにもよりますが、英国系のものはほぼ正確に表記通りの寸法に仕上がっているところが多くて、かなり信頼できるサイズ表記だといえます。
シャツの16.5—34は、首が42cmで裄が86cmということになりますね。
手編みのアランセーターは着丈も袖丈も仕上がりが一つ一つまちまちなので、私が1枚ずつ胸囲のサイズを平置きで実測して、48cmなら2倍して38”、56cm(x2で112cm)なら44”と、胸囲の仕上がり寸法だけを頼りにサイズ分けしてます。インチなんだよという意味で、数字の後ろに「”」印をつけるように心掛けています。
それでは、イタリアのジャケットなどに使われている、・・・44.46.48.50.52.・・・というサイズ、この数字は何を意味しているのでしょう。これ、長いこと私も疑問でしたが、2倍すると胸囲の寸法(cm)になる、というのが答えです。つまり48だと倍して96だから胸囲96cmです,。
じゃ英国式とおんなじように考えればいいのね、というとこれがぜんぜん違うんです。96cmは仕上がり寸法じゃなくて着る人のヌードの寸法なんです。つまり、胸囲が96cm(半身で48)の体格の人は48というサイズが適してますよ、ということを意味しているんです。だからブランドによっても流行によっても仕上がりの寸法はまちまちなんです。
これ、上着だとまだわかりやすいのですが、スラックスになるともう大変。私、最初はヒップのサイズから割り出すものなのかなと思ったんですが、そうじゃない。例えば、46の上着を着るような体型の人が履くスラックスの大きさを46と表わそう、みたいな感じで、もうかなりあやふや。
洋服を工業製品として厳格に捉える英国的思想と、ファッションは芸術作品だからと感性を重視するイタリアの発想、私はどちらも正しいと思います。ただ、イタリア式の場合には、着る本人が自分の体型を自分で正確に把握していることが大前提です。身長、体重だけじゃだめですよ。最低でも、胸囲、ウエスト、首回り、シャツの裄丈、靴のサイズ、は覚えておきましょう。
靴のサイズ、これがまた、大変で、いくら調べてもその根拠がわからないのです。英国式はやはりインチだろという人がいるんですが、じゃ、7.5という靴のどこを測ったら7.5インチつまり19cmなのか、誰も答えてくれないんです。英国とアメリカで半サイズずれる理由もわかりません。それに靴は長さだけでなく幅も重要な要素なんですが、これも統一した基準がないみたいです。ですので、もう単純に暗記するしかないんです。下の表で自分のサイズを覚えてください。あくまでも目安ですよ。誰かこれらの数字の根拠をご存じの方がいたら教えて欲しいです。
さて、話として面白いのはここまでなんですが、日本の背広屋として避けて通れないサイズの話として、JIS規格の三元表示のことに触れないわけにはいかないので、しばらくお付き合いください。
A5とかYA7とかAB4とか、聞いたこと、ありますよね。Y.A.B.E.というのは、字をよく見てください、はい、痩せ型から標準体、肥満体まで、を字面で表します。で身長165cmを4,170cmを5、と、5cm刻みで便宜上数字を振ります。胸囲―胴囲―身長、これを三元表示といいまして、こんな表ができます。
こんなの覚えなくていいです。自分がどのあたりにいて、何体の何号(例えば私だとAB4です)なのか、だけは把握しておいて ください。JIS(日本工業規格)ですから、日本だけのしかも大昔に作った杓子定規なもので、この規格どおりに作っているスーツなどもはやどこにも存在しませんから、あくまで参考としてお考えください。つまらない話ですいません。
最後に。サイズについての問い合わせはかなり多いです。アランセーターなんて1枚ずつ違うので写真だけではわからないことも多いです。ときどき、ご自分の体型サイズのことは何にも教えてくれないで、品物の仕上がり寸法を神経質なほどしつこく聞いてくる方がいらっしゃいます。私は工場長じゃなくて洋服屋ですから、寸法を測ることは答えではなく、あなたにふさわしいサイズはどれなのか、を一緒に考えるのが仕事です。
それと、服のサイズというのはこれじゃなければいけない、という絶対的なものではなく、どう着たいかでいくらでもその違いを楽しめるものだという柔軟性を持ってほしいです。自分のサイズを知ること、これはとても大切です。でもサイズに縛られてしまうのは本末転倒です。(弥)