なんだかんだ言ってもトレンチコートのイチバンは
やっぱりアクアスキュータムの英国モノなんだよな、悔しいけど…、
と内心感じてはいたのです。
しかし、まさかそれが自分のところで取り扱えるようになるとは。
長くやっているとそういうこともあるもんなんだな、と感慨ひとしおです。
「英アクアスキュータム本社、経営破たん」のニュースが
世界を駆け回ったのが昨年(2013年)4月のこと。
経営悪化に伴いその前年2012年に
ノーザンプトン州コービーの直営工場は閉鎖され
115人の従業員は解雇されました。
このコービー・ファクトリーこそ、1909年の設立以来、
その看板商品たるトレンチコートの名品の数々を作ってきた工場でした。
工場の敷地内にはアウトレットも併設されていたので、訪れる人も多かったようです。
英国もの作りの知恵が詰まったこれだけの工場を廃業させてはならない、と、
スウェイン&エドニーのオーナーがスポンサーとなり資金を投入、
新会社として工場は操業を再開し、
職人たちも大半が再雇用されることになったのです。
体制が変われば流通チャネルも変わります、
回り回って、そして、縁あって当店に話がきた、というわけ。
当初予定よりもかなり遅れましたが、本日ようやく納品となりました。
ブランド名は、105年の歴史を持つ工場としてのプライドから
「コービー・ファクトリーCorby Factory」とされました。
モデルは「1918・WWⅠ」型。1918年製造の第一次世界大戦時のデザインを再現しました。
これはのちの「1945・WWⅡ」型よりも着丈が少し短くて裾さばきが身軽なスタイルです。
何しろ今年は第一次世界大戦100周年ですから、
そういう意味でもいい選択だと思ってます。
言わずもがな、でありますが、D管リングやチンストラップ、内側と貫通式の脇ポケット、
などのディテールは、いちいち説明するまでもなくフル装備の完璧版です。
素材は綿100%のギャバジン、
色はWalnut(クルミ)つまり赤みのあるベージュ色で、最も伝統的でポピュラーな色です。
ライニング(裏地)の仕様は選択肢がいくつかあったのですが、
当店では無地のレーヨン裏地にして、
英国製ハリソンズのタータンチェックのウールライニングを
取り外し可能な付属として装着しました。
サイズは36(S),38(M),40(L)の3サイズ。価格194,400円(税込)です。
高いか安いか、は、お客様が決めることですが、
私はとても妥当な金額だと思いますし、持っていたい1枚であります。